債務整理(さいむせいり)の種類やメリット、デメリットを徹底解決!債務整理に強い、おすすめ法務事務所情報が満載!借金問題の解決手段である債務整理の種類は、任意整理・特定調停・個人再生・自己破産の4種類があり、法的に借金の減額や免除、毎月の返済負担の軽減や返済期間に猶予を持たせてもらえます。 当記事では、債務整理の方法やメリット・デメリット、手続きの流れや完了までの期間・費用相場について、弁護士事務所の紹介と共にわかりやすく解説します。
任意整理(にんいせいり)とは、裁判所を介さずに債権者との任意交渉によって、借金返済の負担を軽減してもらう方法です。任意整理を行うと以下の負担軽減が望めます。
債務整理の種類 | メリット | デメリット |
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任意整理 | ・将来利息がカットされて借金の軽減と早期完済が可能
・過払い金が発生する場合は元本を減らせる ・家族や会社に気付かれるリスクが低い ・任意整理対象とする債権者を選べる ・資格や職業の制限がない ・自宅や車などの財産を残せる | ・他の債務整理方法と比べて借金の減額効果が低い ・任意整理に応じない債権者がいる ・信用情報機関に任意整理を行った情報が登録される |
特定調停 | ・手続きにかかる費用が安い ・債権者との直接の交渉は不要 ・どの債権者と交渉するかを自由に選べる ・資格や職業の制限がない ・専門知識が必要ない | ・和解や交渉に応じない債権者がいる ・債権者からの取立が止まるまでに時間がかかる場合がある |
個人再生 | ・借金を5分の1~10分の1程度に圧縮できる可能性がある ・「住宅ローン特則」を利用すれば住宅を手放さずに済む ・借金の理由を問わずに手続きが可能 ・資格や職業の制限がない ・原則3年間(最長5年間)での分割返済が可能 | ・信用情報機関に個人再生を行った情報が登録される ・返済計画を履行するための継続的な安定収入が必要 ・用意するべき書類が多い ・弁護士に手続きを依頼する場合、費用が高い ・保証人が借金の支払い請求を受ける |
自己破産 | ・税金や養育費などの非免責債権を除いた借金の返済義務がなくなる ・収入要件がない ・生活に必要不可欠な財産は残せる ・免責後に得た収入や財産は自由に使える | ・信用情報機関に自己破産を行った情報が登録される
・資格や職業の制限を受ける ・一定額以上の財産は処分 ・免責不許可事由がある(借金の理由がギャンブルや浪費などの場合) ・保証人が借金の支払い請求を受ける ・国が発行する官報に自己破産を行ったことや住所氏名等が掲載 |
費用相場(弁護士) | 費用相場(司法書士) | |
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相談料 | 無料の場合有 | 無料の場合有 |
着手金 | 20,000~50,000円(1社あたり) | 20,000~40,000円(1社あたり) |
報酬金 | 20,000~50,000円(1社あたり) | 20,000~40,000円(1社あたり) |
減額報酬 | 減額した分の11%程度 | 減額した分の11%程度 |
費用相場(弁護士) | 費用相場(司法書士) | |
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相談料 | 無料の場合有 | 無料の場合有 |
着手金 | 2万円~5万円程度(1社あたり) | 2万円~4万円程度(1社あたり) |
減額報酬 | 減額した分の11%程度 | 減額した分の11%程度 |
費用相場(弁護士) | 費用相場(司法書士) | |
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相談料 | 無料の場合有 | 無料の場合有 |
着手金 | 30~50万円程度 | 30万円程度 |
成功報酬 | 30~50万円程度 | 20~30万円程度 |
その他費用 | 個人再生委員会への報酬や手数料:20万円程度 | 個人再生委員会への報酬や手数料:20万円程度 |
費用相場(弁護士) | 費用相場(司法書士) | |
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相談料 | 無料の場合有 | 無料の場合有 |
着手金 | 20万円~30万円程度 | 15万円~30万円程度 |
成功報酬 | 20万円~30万円程度 | 20万円~30万円程度(徴収しない司法書士事務所も多い) |
その他費用 | 裁判所費用:数万円~数十万円程度(郵便代や収入印紙代、裁判所予納金など) | 裁判所費用:数万円~数十万円程度(郵便代や収入印紙代、裁判所予納金など) |
種類 | 予納金などの諸費用 | ケース |
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管財事件 | 50万円〜 | 破産者に一定(20万円程度以上)の財産がある |
少額管財事件 | 20万円〜 | 破産者に一定(20万円程度以上)の財産があり、少額管財事件の要件を満たす ※弁護士が申立代理人前提 |
同時廃止事件 | 2万円〜 | 破産者に20万円を超える資産がない |
弁護士 | 司法書士 | |
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相談料 | 無料の場合有 | 無料の場合有 |
着手金 | 1社あたり1万円~2万円程度 | 無料とする司法書士事務所が多い |
過払い金報酬 | 返還額の20%程度(裁判をした場合は返還額の25%程度) | 返還額の20%程度(裁判をした場合は返還額の25%程度) |
減額報酬 | 減額した分の10%程度 | 減額した分の10%程度 |
債務整理をするにあたって、弁護士と司法書士のどちらに手続きを依頼していいか分からない方も多いのではないでしょうか。
実は弁護士と司法書士では、債務整理の取扱範囲に違いがあるのです。そのため、債務整理を検討する方は、弁護士と司法書士の違いを必ず把握するようにしてください。
弁護士と司法書士の違いを債務整理の方法別にまとめたのでチェックしておきましょう。
債務整理内容 | 弁護士 | 司法書士 |
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140万円以内の任意整理 | 〇 | 〇 |
140万円を超える任意整理 | 〇 | ✕ |
個人再生 | 〇 | 提出書類作成に限る |
自己破産 | 〇 | 提出書類作成に限る |
140万円以内の過払い金返還請求 | 〇 | 交渉・第一審の裁判のみ |
140万円を超える過払い金返還請求 | 〇 | ✕ |
債務整理をすると、保有しているクレジットカードを利用できなくなったり、解約されたりする可能性が高いです。また、債務整理後は、クレジットカードに新規申し込みをしても審査通過が難しくなるでしょう。
任意整理をした場合、一定期間はクレジットカードを残せる可能性があります。しかし、任意整理を行った事実は信用情報機関に事故情報として登録され、加盟業者間で共有されるのです。
そして、カード会社が途上与信を行ったり、カード更新時の審査を行ったりした結果、契約が解除されたり、利用限度額が大幅に減額されたりします。
債務整理後も債務整理手続き中も、新たに金融機関の口座を開設できます。これは、大手メガバンクやネット銀行関係なく、すべての金融機関において同じです。
また、金融機関で債務整理を行った人物の情報を共有していることもありません。
債務整理をすると、一定期間はクレジットカードやローンなどといった信用取引の審査に通過できなくなります。信用情報機関に債務整理を行った事実が事故情報として登録されているからです。
なお、事故情報は債務整理の方法によって、信用情報機関への登録機関が異なります。
・任意整理:5年程度
・個人再生:5~10年程度
・自己破産:5~10年程度
信用情報機関から事故情報が削除された後であれば、ローンや借金ができる可能性があります。
債務整理の手続き前に賃貸契約し、現在も居住中のアパートやマンションを追い出されることはありません。賃貸契約する方が債務整理をしたのを理由に、不動産会社や大家が退去を求める法律はないからです。
しかし、賃貸物件を新規契約する際に、信販系の賃貸保証会社が付いている場合は注意しましょう。債務整理をすると信用情報機関に事故情報が登録され、加盟する賃貸保証会社に確認されるからです。
そして「家賃の支払い能力はない」と判断され、家賃保証の審査に通らない可能性を高めてしまいます。
車のローン返済中に債務整理を行うと、返済中の車は没収対象となるケースがほとんどです。なぜなら「所有権留保」によって、ローン会社が車を処分できるように車の所有権をローン会社に留めているからです。
債務整理をする前に車のローンを完済していたり、ローンそのものがなかったりすれば、車は債務者のものです。ローン会社に車を処分されることはありません。しかし、自己破産をした場合、車や住宅の時価が20万円以上の場合は処分対象です。
預金は金融機関から銀行カードローンや住宅ローン、自動車ローン、目的ローン、フリーローン、多目的ローンなどを利用していなければ、口座凍結とならずに済みます。また、債務整理対象外の金融機関なら、口座凍結の心配は一切不要です。
債務整理を行った事実が家族や会社に通知されることはありません。
債務整理の手続きはいくつか種類があり、そのなかでも任意整理や特定調停ならば周囲にバレるリスクは低いでしょう。任意整理は裁判所を介さずに債権者と交渉、特定調停は裁判所の仲介によって債権者と交渉するからです。
その一方で、個人再生や自己破産は家族に気付かれるリスクが高く、内緒にするのが難しいです。債務者の配偶者や家族に給与所得者がいる場合、収入を証明できる書類提出を必ず求められます。
特に最近は、源泉徴収票や給与明細の電子化が進んでいます。取得をお願いした時点で家族から理由を問い詰められ、債務整理をするのがバレる可能性が高いです。
また、自己破産で借金の返済が免除される代わりに、住宅や車を手放さないといけません。家族と共有しているものがなくなることによって、債務整理をした事実が必ずバレます。
債務整理をしたからといって、その事実が就職先の企業に知られるわけではありません。また、自分から債務整理をした事実を就職先に伝える必要もないです。
ただし、自己破産をするときは資格や職業の制限を受けるので注意しましょう。自己破産による資格制限がある主な職業の一例は以下の通りです。
・貸金業の登録
・警備員
・公認会計士
・司法書士
・生命保険外交員(募集人)
・税理士
・宅地建物取引士
・不動産鑑定士
・弁護士
・警備業者
・社会保険労務士
就職だけでなく結婚に大きな影響を与える可能性も低いです。戸籍謄本や住民票に債務整理を行った事実は記載されていませんし、市区町村役所でも債務整理を行った事実を把握していません。
自分から「債務整理を行っている」と言い出さなければ、結婚相手に知られるリスクは低いです。
会社は債務整理をしたことを理由に従業員を解雇できません。債務整理が解雇の理由に該当しないからです。
解雇されるのではないかと心配する方もいると思いますが、債務整理後も引き続き勤務できます。また、自分から退職を申し出る必要もありません。
国民年金や厚生年金、共済年金といった公的年金には、法律で制度が決まっています。債務整理をしたからといって、年金がもらえなくなったり減額されたりする規定はありません。
注意点として、年金が金融機関に振り込まれて他の貯金と混ざってしまうと、年金と貯金の区別がつかない状態です。そうなった場合、通常の貯金と同様に差し押さえを受ける可能性があります。
債務整理をして信用情報機関に登録されても、戸籍や住民票に記録が残りません。債務整理後に戸籍謄本や住民票の提出機会があっても、債務整理をした事実は記載されることはありません。
債務整理後も債務整理の手続き中も、選挙権が剥奪されることはありません。選挙権や被選挙権は、日本国憲法で認められた国民の大切な権利だからです。
衆議院や参議院といった国政選挙はもちろん、都道府県知事や市区町村長、都道府県議員や市区町村議員選挙などでも同じです。
債務整理をしても、税金の減額はできません。どんなに借金問題を抱えていたとしても、在勤の支払い義務は免除されないのです。
自己破産では免責許可決定が確定すれば、原則として借金が全額免除されます。しかし、自己破産には非免責債権と呼ばれる自己破産をしても支払い義務が免除されない債権があり、そのなかに税金や社会保険料が含まれているのです。