【借金】時効の援用とは？成立の条件やチェックポイントを解説

借金にも時効があることをご存知ですか？債務には消滅時効が法的に設けられていて、時効の援用を行うことによって借金の返済義務から免れることができます。一見すると難しく、そんなこと可能なのか疑問が出てきますがきちんと手続きをして条件を満たすことが出来れば誰でも申し立てることができます。
今回は時効の援用について、成立条件や利用の際に気を付けておきたいポイントをわかりやすくまとめてみました。なるべく読みやすいようにまとめているので、時効の援用を行いたい方はもちろん、時効の援用について興味がある人も読んでみてください。

借金にも時効がある？

お金を貸した側が借金を返してもらうことは当然の権利です。しかし、お金を貸した側が持っているお金を返してもらう権利は長い間何も動きがない状態が続くと、消滅時効という法律上の制度によって権利が消滅することがあります。以下では借金の時効と借金の時効を成立させるための条件や手続きをわかりやすくまとめています。

借金の消滅時効とは

上記したようにお金を貸した側が借金を返してもらう権利は、長い間動きが無い状態が続くと消失してしまいます。これは法律で定められている消滅時効という制度によるもので、お金を借りた側から見ると借金を返す義務が消滅したことになります。借金の消滅時効は待っていても完成しないことから時効の援用という手続きをする必要があります。

時効の援用

借金の消滅時効の援用とは「消滅時効によって借金の返済義務を消滅させることをお金を借りている側（債務者）がお金を貸している側（債権者）に伝える」ことを意味します。借金の返済義務を消滅させるために必要不可欠な手続きで、借金を返さずにただ放置しているだけでは時効の援用を行ったことにはならないので注意をしてください。

時効の援用には手続きが必要

上記のように、借金を返さずにただ放置しているだけでは時効の援用を行ったことにはならないので手続きが必要です。債務者が債権者に「長期間支払いをしていないので債務義務が消失している（借金の消滅時効が完成している）」ことを伝えるだけでいいので口頭でも手続きが完了したことになりますが、証拠を残すために内容証明郵便を利用するのが一般的です。

時効の援用手続き前に確認すること

時効の援用を行うことで借金が消えるのであれば誰でも利用したいと思いますよね。しかし時効援用の手続きを行う前にはいくつかの注意点があります。時効の援用手続き前に確認および注意してもらいたい項目をリストアップしています。1つ1つ詳しく解説していますので、時効の援用手続きを行おうとしている人は必ず確認してください。

時効の期間の数え方

そもそも時効が完成していなければ時効の援用を行うことができません。借金の消滅時効は、最後の取引日から債権者が営利目的で貸し付けた場合（業者などから借金した場合）には5年、これ以外の場合には10年と定められています。（2020年4月1日以降にした借金の場合には、上とは異なるルールが適用されるので注意）また、住宅金融支援機構の住宅ローンの消滅時効は最後の取引日から10年となっています。

時効は更新する

借金の消滅時効は法律上定められている制度で、これは「長い間続いた状態を法律的に保護するため」「長い間権利行使しなかった者は法律的に保護しない」などの理由で説明されることがあります。仮に法律に定められた要件を満たす動きがあると、時効の進行が「更新」します。更新が行われると時効期間が振り出しに戻り、数え直しが始まるので注意が必要です。

知らない間に判決が取られていることも

時効は「確定判決による権利の確定」「強制執行」「承認」の3つの動きがあると更新されます。裁判にかけられたり、支払督促の申し立てがあると時効が更新します。債権者は当然、借金の消滅時効も時効の援用制度も理解しているため、お金を返してもらうために申し立てを行ってきます。裁判所からの書類を受け取った後、適切な対応をしなければ知らない間に更新の判決が取られていることもあります。

時効の援用を行う方法

時効の援用手続きと言っても、口頭で「借金の消滅時効が完成している」と伝えるだけでも両者が同意すれば完了します。時効援用の意思が相手方に伝わるのであれば、電話、メール、書面でも認められています。トラブルを防ぐために、時効援用の証明では内容証明郵便を利用するのが一般的なので、その方法を紹介していきます。

内容証明郵便を利用する

時効援用の意思が債権者に伝わるのであれば、口頭、電話、メール、書面どのような方法であっても認められると上記しました。しかし口頭や電話では時効援用の意思表示を行った証拠が残らないため、「時効援用通知書」とよばれるような書面を「内容証明郵便」を利用して債権者に送ります。内容証明には記載内容を第三者（郵便局）が証明してくれるというメリットもあります。

時効援用通知を作成する

時効援用通知を作成するにあたって、書面に記載すべき項目が4つあります。「消滅時効の対象となる当事者が特定できる情報」「消滅時効の対象となる権利義務が特定できる情報」「消滅時効が完成していることを示す情報」「消滅時効によって返済義務を消滅させる意思を示す情報」ネット上で無料のテンプレートも公開されているので作成自体は困難ではありません。

時効の援用手続きの後

裁判外で時効援用をした時や、自分自身で対応した場合、債権者が時効援用を受け入れて処理してくれたのか分からないケースもあります。債権者から手続きが完了したことを確認出来るかどうかは債権者次第です。どうしても気になる場合は信用情報を取り寄せてみて、確認してみるのも手段です。完了していた場合、延滞していた借金は完済したと同じ状態になっています。

時効援用をする際に注意したいこと

時効の援用は条件を満たして正しく行うことで誰でも利用することができます。しかし、時効援用が行われるケースでは債権者とのギリギリの駆け引きになることも少なくありません。以下では時効援用を行う際に知っておいてほしいことをまとめています。時効援用を行う前には以下を読んで十分理解をしておくようにしてください。

時効完成後の債務承認と援用権の喪失

債務側は時効が完成しただけでは借金が消滅しないことを当然理解しているので、借金に消滅時効が完成したといっても取立てが止まるわけではありません。更に時効完成後であっても、債務承認をしてしまうと再度時効期間をゼロから数え直されることもあります。債権者側にもお金を返してもらう権利があるということを忘れてはいけません。

時効完成後の借金について訴訟を起こされた

時効完成後であっても民事訴訟や支払督促が提起されるケースも少なくありません。時効完成後であっても債権側は訴訟することができ、当事者が主張しない（援用しない）限り、裁判所は、「消滅時効はなかったもの」と扱って、裁判を進めることになっています。債権者による訴訟提起よりも先に、消滅時効が完成していれば裁判中で消滅時効を援用することも可能なので弁護士に相談してみましょう。

消滅時効で借金を踏み倒すのは簡単ではない

借金を返済せずに放置して、時効が完成したら時効援用をすれば簡単に借金を踏み倒せると勘違いをする人も少なくありません。債権者が権利行使をすれば消滅時効は絶対に完成しないため、債権者は債務者の時効を必ず把握しています。権利行使しづらい状況を作る為に夜逃げをするなどのケースも少なくありませんが、実際には住所がわからなくても裁判を起こすことは可能なので意味がありません。

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借金の時効援用に関するまとめ

時効の援用を行うこと自体は「意思表示」であることから難しい手続きではありません。しかし、時効援用を行ったことによる借金の消滅時効が認められることは難易度が高く、借金を踏み倒すことはほぼ不可能となっています。借金に関して悩みを抱えている場合、まずは弁護士や専門家に相談をして正しい債務整理のアドバイスをもらうのがおすすめです。

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