殺鼠剤と呼ばれる毒エサは種類が多く、それぞれ適している設置場所や効果を発揮するまでの時間などが異なります。効果的に殺鼠剤を使うためには、殺鼠剤の特徴とネズミの特性を理解して、上手に使用しなければなりません。この記事では上手に殺鼠剤を使用するためのポイントに加え、設置したい場所や環境に適した殺鼠剤の選び方も解説します。
市販されている一般的な殺鼠剤は、抗凝血性殺鼠剤と急性殺鼠剤の2種類あります。それぞれ特徴が異なるため、駆除したいネズミの数や種類で選んだり、使用する場所や環境によって使い分けたりすることで、殺鼠剤の効果を最大限に発揮することが可能です。
累積毒剤とも呼ばれる抗凝血性殺鼠剤は、4日から7日以上かけてネズミに食べさせる必要があるものの、徐々に弱らせるため殺鼠剤だと気付かれにくく、多くのネズミに対して有効です。ネズミの習性である、エサを巣に持ち運ぶ貯食性も活かすことができ、巣にいるネズミの駆除も期待できます。
以下の状況・環境での使用に適している殺鼠剤です。
・巣にいるネズミも駆除したい
・幼い子供やペットが誤飲した際のリスクを抑えたい
急性殺鼠剤は毒性の含有量が多いため、抗凝血性殺鼠剤よりも食べさせなければならない回数が少ないうえ、より早くネズミを駆除することができます。一度食べただけで効果を発揮する殺鼠剤もありますが、殺鼠剤の効き目が早ければ早いほどネズミに殺鼠剤だと気付かれやすく、食べなくなる可能性が高いです。
以下の状況・環境での使用に適している殺鼠剤です。
・ネズミの数をとにかく減らしたい
・警戒心が弱い傾向にあるドブネズミなどを駆除したい
設置したい場所に適した殺鼠剤を使用することで、殺鼠剤の有効性を高めることができます。固形タイプと粉末タイプの2種類ありますが、粉末タイプは設置する際に吸い込んでしまう恐れがあるため、できる限り固形タイプの殺鼠剤から選ぶとよいでしょう。
投げ込み式殺鼠剤は、毒エサが個包装されている殺鼠剤であり、個包装されたままの状態で使用します。投げ入れることができるため、天井裏や床下などの手の届きにくい場所でも設置可能です。小さく個包装されている投げ込み式殺鼠剤であれば、ネズミが巣へ持ち帰ることができるため、巣にいるネズミも含めて駆除できます。
投げ込み式殺鼠剤は、以下の場所に出現するネズミに効果的です。
・天井裏や床下収納庫の下
・冷蔵庫や食器棚の裏
・基礎石の周辺
トレイ式殺鼠剤は、ネズミの出そうな場所に殺鼠剤が入ったトレイを置いて使用します。むき出しで毒エサが入っているため、ネズミの被害にあっている食べ物を混ぜて食いつきをよくしたり、毒エサが食べられているかを確認して設置場所を変更したりすることが可能です。ネズミが好んで通る壁沿いや隅への設置を楽に行えるものの、幼い子供やペットの誤飲には注意する必要があります。
トレイ式殺鼠剤は、以下の場所に出現するネズミに効果的です。
・床下や壁沿い
・冷蔵庫や食器棚の隅
・生活スペース
殺鼠剤の基本的な設置場所は、ネズミのエサ場や通り道です。ネズミの通り道は、ラットサインと呼ばれるネズミの通った痕跡で見つけることができます。ラットサインは、壁や部屋の隅などに見受けられる、黒い汚れや糞尿、家具やケーブルの噛み跡のことです。ネズミは何度も同じ場所を通る習性があるため、ラットサインのある場所に殺鼠剤を複数設置することで、殺鼠剤を食べさせる可能性を高めることができます。
ネズミは警戒心の強い生き物であるため、殺鼠剤を設置した直後は警戒して食べないことも多いです。設置してから最低でも1週間以上は触れないようにして、殺鼠剤への警戒心を緩めさせましょう。もし1周間以上食べないようであれば、ネズミが殺鼠剤に気付いていない場合が考えられるため、設置場所を再検討することをおすすめします。
殺鼠剤の毒がまわり始めるにつれてネズミの警戒心は弱くなっていき、粘着シートにかかりやすくなります。粘着シートにネズミがかかれば、回収の手間を省けるだけでなく、衛生的な駆除も可能です。粘着シートを設置する際は、殺鼠剤へ警戒を向けさせないためにも殺鼠剤の近くは避けることをおすすめします。
ネズミの習性を利用することで殺鼠剤の有効性を高めることができ、より多くのネズミの駆除が可能となります。既に設置している殺鼠剤の効果が実感できない場合にも、おすすめできる方法です
トレイ式殺鼠剤のような、毒エサがむき出しである殺鼠剤で可能な方法です。食いつきを良くするためにネズミの好物を殺鼠剤に混ぜ合わせて、駆除の有効性を高めます。ネズミは雑食性ではあるものの種類によって好物が異なるため、被害にあった食品を利用したり以下をふまえたりして、殺鼠剤に工夫を凝らすとよいでしょう。
殺鼠剤のニオイを強めるため、ごまやコーンを使用した食用油やソースを数滴、殺鼠剤にふりかける方法も効果的です。ネズミは優れた嗅覚をもつため、駆除したいネズミの種類が分からない場合でも効果が期待できます。
注意すべきは、リン化亜鉛による急性殺鼠剤です。使用する食品によっては、化学反応を引き起こし、毒性が抜けてしまうケースがあります。ソースなどの水分を含んだ食品で起こる可能性が高いため、急性殺鼠剤には水分のある食品の使用は避けるようにするとベストです。
食べ物がない状況下にいるネズミは、4日から5日程度で餓死します。食べ物を片付けることで、ネズミが殺鼠剤を食べる可能性を高めることが可能です。ネズミは雑食性であるため、仏壇の花やペットフードなどもできるだけ片付けることをおすすめします。
殺鼠剤を使うネズミは、強い警戒心と高い学習能力をもつ生き物です。殺鼠剤をただ設置するだけでは食べないことがあるため、ネズミの習性や行動をふまえたうえで設置する必要があります。いずれの殺鼠剤であっても、ネズミの警戒心を緩めたり毒がまわるまで待ったりしなければならないため、慌てずに根気よく、ネズミの様子を見ながら工夫を凝らして駆除することが大切です。
ネズミの生態を種類別で見る
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しっかり駆除したいけれど、死骸は見たくないという方には、殺鼠剤が最適です。ただし、遅効性の薬剤なので、食べてすぐ効くわけではありません。徐々に効くタイプなので、仲間に警戒心を与えず、殺鼠剤と悟られずに食べさせることができるため仲間も効果的に駆除できます。
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ネズミ駆除の方法とコツ
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ネズミが住みにくい環境の作り方
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