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■法隆寺の歴史
法隆寺をより深く楽しむために、まずは歴史をおさらいしておきましょう。
法隆寺
- 奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1-1
- 0745-75-2555
- 8:00~17:00 (11月4日〜翌2月21日は〜16:30)
- なし
- 西院伽藍内、大宝蔵院百済観音堂、東院伽藍内(共通券) 大人1000円、小学生500円
もとは聖徳太子の父の遺志によって建てられた
法隆寺が開かれたのは607年、日本初の女性天皇・推古天皇の時代です。法隆寺は、その推古天皇を補佐した聖徳太子(厩戸皇子)によって創建されました。聖徳太子といえば、「十七条の憲法」「冠位十二階」を定め、天皇による中央集権化を目指した政治家です。非常に頭脳明晰な人物で、「一度に10人の言葉を聞き分けた」という伝説が残っています。
(なお、現在は“聖徳太子”ではなく厩戸皇子と表記するのが一般化していますが、ここでは親しみやすい聖徳太子で表記します。)
もともと、法隆寺は聖徳太子の父・用明天皇が、自らの病気平癒のために発願したのが始まりでした。しかし、祈りむなしく用明天皇は崩御。聖徳太子は父の遺志を継ぎ、推古天皇とともに、法隆寺を完成させました。法隆寺は聖徳太子が住んでいた斑鳩宮(いかるがのみや)の隣に建てられたため、別名「斑鳩寺(いかるがでら)」とも呼ばれています。
法隆寺は世界最古の木造建築群
非常に広い境内を持つ法隆寺。東大門を境に西院伽藍と東院伽藍に分かれており、特に西院伽藍には五重塔をはじめ、世界最古の木造建築が立ち並んでいます。日本最古の歴史書『日本書紀』によると、法隆寺は670年に火事のためすべて焼け落ちたとあります。しかし、711年までには再建されていたことが分かっています。
とはいえ、法隆寺が飛鳥時代当時の姿を今にとどめていることに変わりはありません。その文化的価値が評価され、平成5年(1993)に日本初のユネスコ世界文化遺産に登録されました。
それでは次ページより、見るべき法隆寺の国宝建築を紹介していきましょう。
■【法隆寺の国宝建築1】中門(西院伽藍)
「法隆寺門前」のバス停すぐ、南大門をくぐって正面に見えてくるのが中門(ちゅうもん)です。この門の先に、法隆寺の中核である西院伽藍が広がっています。中門の特徴は、門を分かつように真ん中に立つ柱です。この柱によって、中門に4つの柱間が生まれています。日本の寺院は柱間を奇数にするのが一般的であるため、この構造はとても珍しいものとなっています。
門を守護する2駆の金剛力士像は日本最古の仁王像であり、同じく国宝に指定されています。傷みは激しいものの眼光鋭く、「生半可な気持ちで入るな」と参拝者に警告しているかのようです。
現在、この門を参拝者が通ることはできず、西院伽藍に行くには左手の通用口へまわる必要があります。しかし五重塔を借景にしたその威容は、圧巻の一言。ぜひ立ち止まり、飛鳥時代の息吹を感じ取りましょう。
(※なお中門は2017年夏現在、修復工事中です。完了は2018年予定となっています。)
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■【法隆寺の国宝建築2】金堂(西院伽藍)
本尊を安置した法隆寺の中核
金堂は現存する最古の木造建築で、卍崩しの高欄など、飛鳥時代の様式をよく反映しています。一見2階建てのようですが、2層目は外観だけで部屋はありません。どっしりと風格があり、四隅の柱に据えつけられた昇り龍と下り龍が華を添えています。
中に入ると、法隆寺の本尊である釈迦如来、薬師如来、阿弥陀如来の釈迦三尊が鎮座しています。天井を見上げれば、天人と鳳凰が飛び交う天蓋が吊されているのが分かります。極楽浄土の世界を思わせるきらびやかさです。
文化財保護法制定のきっかけとなった壁画
金堂には、敦煌の莫高窟(とんこうのばっこうくつ)、アジャンター石窟群の壁画にならぶ世界的に有名な壁画がありました。しかし昭和24年(1949)、火災により焼亡。日本は世界に誇る至宝を失ってしまいました。これをきっかけに、文化財保護法が制定されたのです。
現在見ることができるのはレプリカの壁画ですが、焼け焦げたオリジナルの壁画は収蔵庫に大切に保管されています。復元するための調査は今も続けられており、公開される日が待ち望まれています。
■【法隆寺の国宝建築3】五重塔(西院伽藍)
現代に伝わる耐震技術
31.5mもの高さを誇る五重塔は、法隆寺のシンボルともいえるでしょう。上へ向かうにつれて屋根が小さくなっていくのが特徴で、安定感のある趣です。中に入ると、塔を支える心柱や木組みの構造をよく見られます。これらは地震の揺れをやわらげる効果があり、スカイツリーなど現代の建築物にもその技術が応用されています。
法隆寺の五重塔の最下層には、奈良時代初期の彫塑群が安置されていて、うち80点が国宝に指定されています。網越しからしか覗くことはできませんが、立ち並ぶ彫塑群は一見の価値ありです。
相輪の「鎌」の伝説
五重塔の先端に伸びているのは、相輪とよばれる装飾です。各地の五重塔に見られる装飾ですが、とりわけ法隆寺の五重塔の相輪には、変わった部分があります。それは相輪に鎌がかけられていることです。
この「相輪の鎌」はかねてより“法隆寺の七不思議”のひとつとされてきましたが、この鎌をつくった刀工の家の古文書によって「雷よけのまじない」だということが判明しています。高層ビルもない当時は、寺院の五重塔がもっとも高い建物だったため、火災とは縁切れぬものでした。この鎌も、落雷による火災がきっかけでかけられたといわれています。目視で確認するのはやや難しいため、はっきりと鎌を見てみたい方はオペラグラスや双眼鏡を手に五重塔をおとずれましょう。
ちなみに“法隆寺の七不思議”残りの6つは、
「法隆寺には蜘蛛の巣が張らず、鳥もフンをかけない」
「大雨が降っても南大門の前の鯛石から先は水が入らない」
「雨が降っても地面に穴が開かない」
「因可池(よるかのいけ)のカエルには片目が無い」
「夢殿の礼盤の裏が汗をかいている」
「法隆寺には3つの伏蔵(宝物殿)がある」
です。いずれも法隆寺の威光を誇張した伝説だといわれています。
■【法隆寺の国宝建築4】回廊(西院伽藍)
柱の形の起源は古代ギリシャ?
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西院伽藍を囲む回廊も、また見どころのひとつです。単廊式で、中門から奥の大講堂へとつながっています。
注目すべきは円柱です。よく見ると、柱の中央が膨らんでいるのがわかります。エンタシス様式と呼ばれ、工法そのものは古代ギリシャに端を発するものです。パルテノン神殿などでよく見られます。そのため、古代日本とギリシャの間になんらかのつながりがあったのではといわれていますが、定かではありません。近くで見ると円柱の形が分かりづらいので、距離を置いて眺めてみましょう。
■【法隆寺の国宝建築5】大講堂(西院伽藍)
国宝の薬師三尊像が見どころ
西院伽藍の奥へ進むと、法要を営んだり、仏道を学ぶために使われた大講堂が見えてきます。平安中期に落雷のため焼け落ちたものの、正暦元年(990)に再建されました。そのため、法隆寺の建造物としては比較的新しめではありますが、西院伽藍ではもっとも大きく、目の前に迫りくるような存在感があります。講堂の中から暖簾を通して見る金堂と五重塔も、また風流です。
中に入ると、国宝の薬師三尊像が参拝者を出迎えてくれます。薬師三尊像中心の薬師如来座像は2.5mもの高さがあり、金堂の薬師如来よりもふっくらと丸みを帯びているのが特徴です。両隣には日光菩薩・月光菩薩とよばれる脇侍が控えています。大講堂には、ほかに需要文化財の四天王像がまつられています。大講堂は仏像ファンなら必ず見ておきたいスポットです。
■【法隆寺の国宝建築6】夢殿(東院伽藍)
「建築の真珠」といわれた東の金堂
西院伽藍を一通り見終わったら、東大門を抜けましょう。その先を歩いて行くと、東院伽藍が見えてきます。東院伽藍は聖徳太子の居住地であった斑鳩宮跡につくられたもので、夢殿は聖徳太子の供養のために建てられました。
東院伽藍の中心には、夢殿と呼ばれる八角円堂があります。ロマンチックな名前に違わず、その気品に満ちたたたずまいは、ドイツの世界的建築家ブルーノ・タウトをして「建築の真珠」と言わしめたたほど。ぜひぐるりとまわって、その建築美を堪能しましょう。堂内も厳かで、神秘的な空気が流れています。
本尊の救世観音像は、聖徳太子の現し身
夢殿の本尊は救世観音菩薩です。聖徳太子の等身を模したといわれ、創建より1100年以上、決して見てはならない絶対秘仏として護られてきました。しかし明治17年(1884)、東洋美術家フェロノサと岡倉天心によってついに開帳され、その全貌が明らかになりました。
像はすらりと細身な体つきで、顔におだやかな笑みをたたえています。絶対秘仏であったため保存状態はきわめてよく、その高さは178.8cm。本当に聖徳太子の等身大であれば、当時としてはかなりの長身といえるでしょう。以後、この夢殿の本尊は、現在も春季と秋季の年に2回、開帳されています。
■まとめ
いかがでしたか? 今回は法隆寺の国宝建築物に焦点をあてて紹介しましたが、ほかにも法隆寺の文化財を集めた大宝蔵院・百済観音堂など、おすすめ観光ポイントがたくさんあります。時間のある方は、ぜひ法隆寺の宝物の数々にも目を向け、聖徳太子の生きた飛鳥時代に思いをはせてみてくださいね。
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