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■【宗像市沖ノ島】世俗から切り離された聖なる島
沖ノ島の特徴
沖ノ島は周囲約4km、面積は0.69㎢の無人島です。玄武岩で構成されており、切り立った断崖絶壁が続いています。
1カ所だけ港がありますが、これは緊急避難用。宗像大社の私有地であるため無断で上陸することはできません。許可を得た場合であっても、島内に足を踏み入れる際は必ず海に入り、禊ぎを行わなければなりません。
島内は、鬱蒼とした古代原生林で覆われています。オオタニワタリなど亜熱帯植物が自生するほか、東南アジアからやってくる渡り鳥の飛来地となっています。こうした自然は「沖の島原始林」として、国の天然記念物に指定されています。
無人島ではありますが、宗像大社の神職のみが交代で常駐しています。神官は毎朝、欠かさず禊ぎを行い、拝礼を行っています。
祭神は天照大神の娘・田心姫神
沖ノ島は、もともとは宗像地方を根拠地にしていた豪族・宗像氏が信仰していた島でした。島を神聖視するうち、沖ノ島を祭祀場と考えるようになった宗像氏は、沖ノ島に沖津宮、大島に中津宮(なかつぐう)、本土の田島に辺津宮(へつぐう)を置きました。
この3宮に鎮座する祭神は“宗像三女神”と呼ばれる3柱の女神で、天照大神(あまてらすおおみかみ)の娘たちです。沖ノ島沖津宮には、長女・田心姫神(たごりひめのかみ)が祀られています。やがてこの3宮は、宗像大社と総称されるようになりました。
宗像氏はのちにヤマト政権の国家祭祀を担うことになりました。彼らは“神の島”に、航海の安全と、国家の安寧を祈ったのです。
貴重な文化財が出土した“海の正倉院”
地図を広げ、沖津宮、中津宮、辺津宮の3宮を結ぶと、まっすぐに朝鮮半島の方向へと延びていくのがわかるでしょう。沖ノ島が浮かぶ玄界灘は、日本本土と朝鮮半島を結ぶ交通の要衝でした。島からはそうした朝鮮や東南アジアからもたらされたと思われる貴重な品の数々が出土しています。これらは、神への奉納品として沖ノ島に持ち込まれたものです。
沖ノ島のあちこちには、今も古代祭祀が行われた痕跡が残っています。特に昭和29年から数回にわたって行われた発掘調査では、4世紀後半〜10世紀初頭にかけて、この島で大規模な祭祀があったことが判明しました。出土品は日本製の品のほか、漢、魏の青銅鏡、ペルシャのカットガラスなどで、その数なんと8万点。そのすべてが国宝に指定され、宗像大社辺津宮の神宝館に収蔵・展示されています。
沖ノ島が“海の正倉院”と呼ばれるゆえんです。
女人禁制、不言様……沖ノ島を神聖化たらしめた独特の禁忌
「女性は島に入ってはならない」
「島で見聞きしたことを口外してはならない」
「一木一草一石たりとも持ち出してはならない」
「四本足の動物を食べてはならない」……
これらは、沖ノ島の禁忌として、今も宗像に住む人びとの間で守り続けられています。人びとは沖ノ島を「不言様(おいわずさま)」と呼び、畏怖の対象としてきました。女人禁制であるのは、女神である田心姫神が女性に嫉妬心を抱くため、または手こぎの渡島には女性の身では難しいためなどと諸説あります。
いずれにしても、沖ノ島が古代の様相を保ち続けているのは、宗像に住む人びとの、沖ノ島への畏敬の念によるものなのです。
2018年からは、すべての一般人が立ち入り禁止に
女人禁制の沖ノ島は、年に1度の大祭に限って、正式に許可された200名程度の男性なら入ることを許されていました。しかし2017年の世界遺産登録後、島のいっそうの保護強化のため、2018年から一般人の上陸を全面的に禁止されることになりました。
沖ノ島の公式ホームページには、沖ノ島の紹介動画が公開されています。
沖ノ島の上陸はかなわなくなりましたが、本土にも沖ノ島に関連する遺跡群が残っており、観光スポットとして注目を集めています。次ページから、宗像大社を中心とした宗像市の観光情報をお届けしましょう。
■【宗像市大島】宗像大社中津宮
神湊から船で島を離れて約7km。福岡県でもっとも大きな島である大島に、宗像大社の3宮のうちのひとつ、中津宮があります。
中津宮は、宗像三女神の次女・湍津姫神(たぎつひめのかみ)を祀っており、本土・田島の辺津宮と向かい合うように鎮座しています。
牽牛と織女の恋物語が伝わる、七夕伝説発祥の地
実は、中津宮は七夕伝説発祥の地として有名。その中津宮でもっとも盛大に行われるのが七夕祭りです。毎年、旧暦の7月7日に近い8月7日に行われ、この期間は神湊港〜大島港までの船も増便されます。
境内には、“天の川”と呼ばれる小川が流れており、川をはさんで牽牛神社・織女神社があります。2人の逢瀬に思いをはせ、恋愛、子宝成就を祈願しに訪れる人も多いとか。なお、織女神社の社までは足場が悪い急坂のため、参拝の際はスニーカーを用意しておくといいでしょう。
宗像三女神が生まれた、天の真名井
中津宮の境内の奥には、「天の真名井(あめのまない)」と呼ばれる清水が湧いています。ここは、『日本書紀』に記された宗像三女神誕生にまつわる井戸です。
『日本書紀』では、宗像三女神の誕生は次のように描かれています。
天照大神は、自分の元を訪れた弟の素戔嗚尊(すさのおのみこと)の剣を3つに割ると、それを天の真名井で清めました。天照大神はそれをかみ砕くと、口から霧を吹き出しました。その霧の中から、3柱の女神・宗像三女神が生まれたのでした。
天の真名井は“延命招福の霊泉”といわれ、この水を求めて全国各地から大勢の人が汲みにくるそうです。また、この水を使うと文字が上達すると伝えられており、毎年この水を使った揮毫(きごう)の会が行われています。
宗像地域を一望できる御嶽山(みたけさん)
本殿のさらに奥へ進むと、大島の最高峰である御嶽山の山頂へと続く山道があります。山頂にある御嶽神社は、沖ノ島の沖津宮で行われていたような古代祭祀の場でもありました。山道、山頂の展望所はきちんと整備がされており、標高も224mと比較的登りやすいため、中津宮の参拝のついでに訪れる人も多いようです。展望所からは、沖ノ島を含めた玄界灘の大パノラマを楽しめます。
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■【宗像市大島】宗像大社沖津宮遙拝所
渡島できない人のための遙拝所
立ち入れない場所に対し、遙か遠くから拝むことを遙拝(ようはい)といいます。大島の北側に位置するこの遙拝所からは、遠く沖ノ島を望むことができ、人びとの祈りの場としての役割を果たしています。
大島港からはバスで10分、中津宮からは歩いて徒歩20分程度。晴天時には沖ノ島の形をくっきりと見られます。
■【宗像市大島】馬蹄岩
風車展望所・砲台跡からさらに西へと進んだ波打ち際に、複数のくぼみがついた馬蹄岩と呼ばれる平岩があります。
『日本書紀』によると、宗像三女神の長女・田心姫神は、この場所から馬に乗り、沖ノ島へと飛び立ったといいます。岩のくぼみは、その時の馬のひづめの跡だといわれています。
それでは九州本土の、沖ノ島関連の観光スポットを紹介しましょう。
■【宗像市田島】宗像大社辺津宮
“宗像大社”といえばここ。交通安全の守護神
宗像市の田島にある辺津宮は、宗像三女神の三女・市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)を祀っています。宗像大社といえばこの辺津宮を指すことが一般的です。
『日本書紀』によれば、宗像三女神は生まれ落ちると、天照大神から「海北道中(かいほくどうちゅう・宗像と朝鮮半島を結ぶ海上ルートのこと)」を守護するよう神勅を受けたとあります。そのため、宗像三女神は道の神さま「道主貴(みちぬしのむち)」として、特に船乗りたちに崇敬されました。
現在は航海安全のご利益はもちろん、自動車運転の無事故を祈願する人びとが参拝に訪れます。なお、吸盤のついた車専用の交通安全祈願のお守りを初めてつくったのも、この宗像大社です。今後の旅の安全を願い、ぜひ心を込めてお参りしましょう。
宗像大社辺津宮
- 福岡県宗像市田島2331
- 0940-62-1311
- 終日
- なし
- 西院伽藍内、大宝蔵院百済観音堂、東院伽藍内(共通券) 大人1000円、小学生500円
神宝館
宗像大社辺津宮には、沖ノ島から出土した国宝8万点が収蔵・展示されています。展示されているのは、8万点のうち317点で、5世紀のものとみられる純金製指輪や三角縁神獣鏡など、古代祭祀のうかがえる貴重な品々を目にできます
宗像大社神宝館
- 福岡県宗像市田島2331
- 0940-62-1311
- 9:00~16:30(最終入館16:00)
- なし
- 一般800円(600円)、高・大生500円(300円)、小・中生400円(200円)
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