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■東大寺の歴史
東大寺の大仏は天平勝宝元年(749)、聖武天皇の勅願によって造立されました。聖武天皇の在位中、日本国内は政変や大地震、干ばつ、疫病の流行などに見舞われ、大変不安定な情勢でした。さらに追い打ちをかけるように聖武天皇の嫡子であった皇子がわずか1歳で夭折。聖武天皇は皇子の菩提を弔うため、金鍾山寺を建立しました。
聖武天皇はこの災難を除くべく仏教に救いを求め、僧侶良弁の進言をうけて各地に国分寺・国分尼寺の建立の詔(みことのり)を発布します。金鍾山寺は昇格して大和金光明寺となり、のちに国分寺の総本山・東大寺として発展することになります。
東大寺で今も行われている仏教行事の数々は、聖武天皇や東大寺のため尽力した関係者にまつわるもの、また国家鎮護の祈りをささげる法要の場として受け継がれているのです。
■【1月7日】修正会
新年を祝う年始法要
修正とは正月の法会のことで、今年一年の平穏を祈る法要が営まれます。戦国時代の戦禍によって一時途絶えたものの、江戸時代になって再興され、現代まで続けられています。この日には大仏様の前に平たく重ねられた餅が供えられます。3本の柱に見立てられた餅の上に、大きな餅が載せられています。それが頭にかぶる笠のように見えるため、笠餅と呼ばれています。
なお、大仏殿の霊名所にて1口1000円で申し込みをすると、お札をいただくことができますよ。
■【3月12日】修二会(お水取り・お松明)
1260年の間、絶えることのない炎と水の儀式
東大寺でもっとも有名な行事といえば、二月堂で行われる修二会(しゅにえ)です。3月1日から2週間の間行われる法要で、練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる僧侶たちが人びとに代わって仏様へ罪を懺悔し、国家の安泰と人びとの幸福を祈ります。修二会というのは、二月の法会という意味です。現在は3月ですが、旧暦では2月1日から行われていたためです。
法要期間中、毎晩行われる「お水取り」と「お松明」は、この修二会のダイジェストともいえるべき目玉儀式です。「お水取り」とは、若狭井(わかさい)と呼ばれる井戸からお香水(こうずい)をくみ上げて、本尊の十一面観音菩薩にお供えする儀式になります。3月12日深夜(13日の午前2時)に行われます。また、この行のため練行衆の通る道を、童子たちが松明で照らします。この「お松明」は修二会の間は毎晩執り行われますが、特にお水取りが行われる3月12日には、ひときわ大きな松明が掲げられます。
二月堂の欄干に、長さ6メートルの一抱えもある松明を振り回しながら童子が通り抜けていく様は圧巻。松明から滝のようにこぼれる火の粉をかぶると健康でいられるといわれているそうです。お水取り当日は大変な混雑となり、場合によっては入場規制も行われるので、できる限り時間に余裕を持って入るといいでしょう。防寒対策は忘れずに。
■【4月8日】仏生会(灌仏会)
お釈迦様の生誕を祝う花祭り
お釈迦様の誕生日である4月8日に行われるのが、その名の通り仏生会(ぶっしょうえ)です。別称を灌仏会(かんぶつえ)といいます。灌仏とは仏像に甘茶を注ぐことで、お釈迦様が降誕した際、甘露の雨が降り注いだなどという言い伝えにちなんでいます。参拝者は、生花をあしらった「花御堂」と呼ばれる小さなお堂の中に安置された釈迦像に甘茶を注ぎます。このことから仏生会を「花祭り」と呼ぶことも。
甘茶をかける釈迦像は誕生仏と呼ばれ、右手を天に、左手を地に向かって指さす姿を模しています。これは、お釈迦様が母親の右脇から降誕して7歩進んで立ち上がると「天上天下唯我独尊(この世に個として存在する「我(個々人)」より尊い存在はない)」と唱えたことにちなんでいます。
仏生会自体は日本各地で行われていますが、東大寺では花御堂の屋根を杉の葉で覆い、馬酔木(あしび)と椿の花が飾られています。緑と紅白のコントラストが目に鮮やかです。参詣者は朝8時から午後2時まで甘茶かけをすることができるほか、花御堂そばで甘茶をいただくことができます。
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■【5月2日〜3日】聖武天皇祭・山稜祭
東大寺大仏造立に心を砕いた聖武天皇を弔う
天災や疫病、皇子の夭折などの悲劇に心を痛めた聖武天皇は、名僧行基(ぎょうき)とともに、仏教による国家鎮護のため各地に寺院を建立、天平12年(740)に大仏造立を発願しました。そんな東大寺大仏造立に尽力し、仏道に深く帰依した聖武天皇を弔う法要が、2日間にわたって行われます。
5月2日の朝8時から11時30分までは聖武天皇像を安置する天皇殿で「最勝十講」と呼ばれる法要があり、その法要中と法要後の14時まで、一般の参拝者も天皇殿を参拝できます。13時からは、時代衣装を身につけた楽人や小さな子供、「ミス奈良」ら300人が参道を練り歩き、行列が大仏殿に到着すると、聖武天皇御忌法要が始まります。大仏殿そばの鏡池では舞楽・慶讃能が行われ、天平の時代絵巻を思わせる風景となります。
5月3日の山稜祭では、裏千家による献茶式が行われます。参拝者にも抹茶がふるまわれ、近年では4000人分が用意されるそうです。
■【7月28日】解除会(茅の輪くぐり)
夏を無事に乗り越えるための祈り
大仏殿にて、朝8時に行われる解除会(げじょえ)は、夏に向け、盧舎那仏に無病息災を祈る法要です。大仏の前に直径2mの茅の輪がつくられ、その茅の輪をくぐると病気にかからないといわれています。これは「夏越しの祓(なごしのはらえ)」や「水無月祓(みなつきはらえ)」と呼ばれる日本古来の儀式の流れを汲むもので、茅の輪をくぐることで半年分の罪をすすぎ、病を遠ざけることができると信じられていました。
夏は心身が弱まり、疫病が流行りやすい時期だったため、夏を平穏無事に過ごせるようにという願いが込められています。ちなみに大仏殿内霊名所にてあらかじめ1口1000円以上の奉納をすると、法要後にお札をいただくことができます。
■【8月7日】大仏さまお身拭い
年に一度の大仏様の大掃除
年に一度のこの日に、大仏様を清めるお身拭いがあります。早朝、120人におよぶ僧侶たちが湯屋で身を清めたあと、白装束に身を包み、箒を手に大仏さまのお身拭いを始めます。一般の参拝者は朝7時30分から大仏殿に入ることが許され、その様子を見守ることが可能です。
幾人もの人が大仏様に登り、あるいは上から紐でつり下げられながらお掃除をする様子から、改めて大仏様の大きさ、壮麗さを認識することができるでしょう。なお、お身拭いが終わると、大仏殿の防災訓練が行われます。
■【8月15日】万灯供養会
幻想的な光の世界
お盆の最終日、大仏殿前に2500もの灯籠が並べられ、過ぎゆく夏の夜を温かな光で彩ります。万灯供養会というこの行事は、諸事情でお盆に帰省できない人でも供養に参加することができるよう昭和60年から始められました。盧舎那仏に灯籠をお供えし、ご先祖様の霊を慰めます。
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この日は大仏殿正面の観相窓が開かれ、参道から大仏様のお顔を拝観できます。灯火の向こうに浮かび上がる大仏様の姿と、万灯の光が織りなす幻想的な世界に、思わずため息がもれそうです。
■【7月15日~9月24日】22時までのライトアップ
古都・奈良の夜が光り輝く
7月から9月の夏の間で、東大寺大仏殿をはじめとした奈良の名所各所で、ライトアップが実施されます。
東大寺以外では興福寺の五重塔、平城京宮跡の朱雀門、春日大社の一の鳥居など。ライトアップは19時から22時(9月は18時から22時)まで。日中で観光名所を見る時との趣の違いを、ぜひ味わってみてください。
■【9月17日】十七夜盆踊り
ご先祖を慰める十七夜
旧暦の8月17日にあたる9月17日を「十七夜(じゅうしちや)」といい、二月堂で盆踊りが催されます。盆踊りはお盆で帰ってきたご先祖様の霊を慰めるために行われるもので、奈良では東大寺二月堂の盆踊りをもって「盆踊りの踊り納め(関西の踊りじまい)」といわれています。
盆踊り当日は、二月堂堂内にも無数の灯籠が飾られます。周辺にも願い事や絵を描いた500基の万灯籠のほか参道の130基の石灯籠にも光が灯され、あたりは光で満たされた空間となります。18時から法要が営まれたのち、18時30分から盆踊り開始。河内音頭・江州音頭に乗って、21時ごろまで二月堂の広場ではにぎやかな声でいっぱいとなります。
■【10月15日】大仏さま秋の祭り
大仏建立のお祝い
天平15年(743)10月15日に、聖武天皇より「大仏建立の詔(みことのり)」が発せられたことに由来する祭りです。10時から大仏賛歌の奉納、献茶式ののち、13時30分から鏡池の舞楽台で能や狂言が行われ、自由に観覧できます。
■【12月14日】仏名会
3年かけて三千仏に祈りを捧げる
「過去」「現在」「未来」それぞれ1000体にのぼる仏の名を一体ずつ呼びながら五体投地し、今年一年の罪をすすぐのが仏名会です。「過去」「現在」「未来」の三千仏への礼拝を3年かけて順繰りに行い、2017年は「現在」の千仏に対する礼拝が執り行われます。
一般の参拝者は礼拝の様子を、二月堂本堂正面から格子越しで見られます。
■まとめ
いかがでしたか?
東大寺の国宝建築に勝るとも劣らない、見るべき仏教行事の数々を紹介しました。
年中行事にはそれぞれ意味があり、連綿と受け継がれてきた伝統を垣間見られます。奈良への観光の予定を立てる時は、期間中に行われている行事があるか、ぜひチェックしてみてくださいね。