【医師監修】プロペシアの効果と副作用｜半年〜1年で薄毛の改善は見込めるか

AGA治療薬として世界60ヶ国以上で用いられているプロペシア。AGA治療に関心がある方なら一度はその名前を耳にしたことがあるかもしれません。「服用開始後どのくらいで薄毛が改善するの？」「副作用のリスクが気になる」このような疑問をお持ちの方のため、この記事ではプロペシアの効果や使用上の注意など薬の基本情報を解説していきます。

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【監修者情報】

プロペシアの効果｜AGAによる抜け毛の抑制

プロペシアは、抜け毛や薄毛の進行を予防する守り系のAGA治療薬です。具体的な働きとしては、AGAの原因物質の一つである 5αリダクターゼ2型 という酵素を阻害し、薄毛が進行するのを予防します。5αリダクターゼは、男性ホルモンの一種であるテストステロンと結合すると、DHTというより強力な男性ホルモンに変換されます。頭皮には男性ホルモンレセプターという受容体があり、DHTと結合することで脱毛因子（TGF-β）を生成。これによってヘアサイクルが乱れ、抜け毛が増加していきます。プロペシアの5αリダクターゼ2型を阻害する働きは、抜け毛の直接的な原因となるDHTやTGF-βが増えるの防ぐことにつながるのです。

プロペシアの効果を実感できるまでの期間｜6ヶ月程度が目安

プロペシアによるAGA治療は、服用開始から6ヶ月ほどで効果が実感できるようになります。「半年は長い」と感じられる患者様は非常に多いので、ここからは薬の効き目が現れはじめるまでに時間がかかる理由を解説していきます。

乱れた毛周期が正常化するまでには半年必要

AGA治療では、乱れてしまった毛周期（ヘアサイクル）の正常化を第一に考えます。
1本1本の髪には寿命があり、健康な男性の髪においては髪の成長期が3〜5年続くと考えられています。ある程度成長した髪は次第に細胞分裂のペースが遅くなり、最終的に抜け毛となってその生涯を終えるのです。この、伸びる→抜ける→生えるという一連の流れが毛周期で、毛周期が正常であれば薄毛が著しく進行することはありません。
ところが、乱れた毛周期は髪の成長期が数ヶ月〜1年と極端に短くなります。本来3〜5年かけて伸びるところ、AGAではたった数ヶ月しか時間がないわけですから、髪が十分に成長できないことは容易に想像できるでしょう。
プロペシアを服用すれば、徐々に毛周期は正常化されます。ただし、悪いヘアサイクルで育った毛は 抜け毛となって一旦リセット されてしまうため、効果を実感できるまでにはある程度時間がかかるというわけです。
プロペシアの効果は、早い方だと3ヶ月ころから実感できます。多くの患者様が半年ほどで毛髪の変化を実感されているので、じっくり根気よく治療を継続していきましょう。

プロペシアは1日1錠服用する

プロペシアは、1日1回1錠を服用するのが基本です。服用する時間に細かい決まりはありませんが、飲み忘れ防止のため毎日同じ時間に飲む習慣をつけるのがいいでしょう。
万が一飲み忘れた場合は、飲み忘れ分を まとめて服用することはしません 。誤って倍量飲んでしまった時はすみやかに担当医に相談してください。

プロペシアによる副作用

プロペシアは、副作用のリスクが少ないAGA治療薬として知られていますが、副作用が起きる可能性はゼロではありません。非常に低い確率ではありますが、まれに以下の副作用が見られることがあります。
・性欲減退
・肝機能障害

副作用1性欲減退

性欲減退は、100人に1人いるかいないかという確率で起こりうる副作用です。「性欲が減退する」と聞くと何となく不安に感じますが、プロペシアが生殖機能に悪影響を及ぼすことはありません。ちなみに、被験者に対しプロペシアとプラセボ（＊1）をそれぞれ投薬する臨床実験では、性欲減退が見られた割合がほぼ同じだったという報告があります。これは、副作用に対する不安や思い込みから性欲減退の症状が起きたものと考えられます。

（＊1）プラセボ…有効成分が入っていない偽薬のこと。

副作用2肝機能障害

プロペシアを服用すると、ごくまれに肝機能障害を引き起こすことがあります。これは、薬の分解によって肝臓に負担がかかりやすいことが主な理由です。肝臓に持病がある方は、治療をはじめる前に必ず医師へ相談してください。

プロペシア・フィナステリド・ザガーロの違いは？

AGA治療薬にはいくつか種類があり、プロペシア以外では フィナステリド や ザガーロ などの薬がよく知られています。ここからは、プロペシアと比較されることの多いフィナステリドとザガーロについて詳しく解説していきます。

フィナステリドとは

フィナステリドとは、プロペシアに含まれる有効成分のことです。プロペシアは、5αリダクターゼ2型を阻害することで悪玉ホルモンDHTの生成を抑制する薬ですが、この効果は主成分であるフィナステリドの働きによるものです。2つの違いは、 プロペシアが薬の商品名 、 フィナステリドは成分名 と覚えるのがいいでしょう。
ちなみに、「フィナステリド錠◯◯」という名前の薬はプロペシアのジェネリック薬であることを意味します。これは厚生労働省が定めたルールにより、ジェネリック薬は「成分名＋会社名」で表示することが定められているからです。
つまり、商品名からは プロペシア＝先発薬 、 フィナステリド錠＝ジェネリック薬 であることがわかります。両者とも薬の効能は同じですが、ジェネリック薬の方が安価で購入できるという理由から、フィナステリド錠を選ばれる患者様が多くいらっしゃいます。

ザガーロとは

ザガーロは、プロペシア同様5αリダクターゼを阻害し薄毛の進行を予防するための薬です。
AGA発症のきっかけをつくる5αリダクターゼには、
・ほぼ全身に分布する1型
・前頭部から頭頂部にかけて分布する2型
という2つの型があり、ザガーロは両方の5αリダクターゼに働きかけるのが大きな特徴です。
プロペシアは2型のみに作用する薬なので、 ザガーロの方がより高い効果が期待できる と考えられます。具体的な効果としては、毛髪数の増加や髪が太くなるといった臨床結果が報告されています。

プロペシアの使用上の注意点

プロペシア服用にあたり、知っておきたい点が3つあります。
1)初期脱毛
2)女性は服用不可（妊娠中、または妊娠している可能性がある方は薬に触れるのもNG）
3)思春期の男性は服用不可

初期脱毛は起こるもの

プロペシアの服用をはじめると、 一時的に抜け毛が増える初期脱毛 という症状が見られることがあります。
初期脱毛は、薬の効果によって毛周期が正常化され、悪いサイクルで育った弱い毛が同時期に抜け落ちてしまう現象のことです。薬が順調に効きはじめているサインではありますが、薬を飲んで抜け毛が増えると聞くと不安な気持ちになりますよね。
初期脱毛は、プロペシアの服用開始後1〜2週間ではじまり、1〜2ヶ月ほどで終わります。最初は驚かれるかと思いますが、自己判断で服用を中断せず、心配事は主治医に相談するようにしましょう。

女性は服用不可（妊娠中、または妊娠している可能性がある方は薬に触れるのもNG）

プロペシアは男性型脱毛症の治療薬で、 女性が服用することは認められておりません 。とくに、妊娠中または妊娠している可能性がある方は胎児へ悪影響を及ぼす可能性があるため、絶対に服用することのないようお願いします。また、プロペシアは皮膚からも吸収されるので、女性の方は直接肌に触れないようご注意ください。

思春期、または思春期前の方

プロペシアは、20歳未満の方への処方が認められておりません。これは、薬の効果によって成長過程にある男性の身体に悪影響を与えるのを防ぐためです。20歳未満の方に対しての 安全性や有効性は保証されていない ので、10代の方がプロペシアを服用することのないようお気をつけください。

プロペシアの個人輸入はダメ？NG理由は2つ

時々、プロペシアを個人輸入しているような噂を耳にしますが、安全性などの観点から医師の処方以外でAGA治療薬を入手することはおすすめできません。その理由は大きく2つあります。
1)不純物が混入している可能性があるから
2)成分が不安定かもしれないから

理由1：不純物が混入している可能性がある

個人輸入の薬は、製造元や利用者の手に渡るまでの経路が明確ではありません。不純物が混入している可能性も考えられ、仮に健康被害が起きたとしても国が定める 救済措置の対象にはならない のです。予期せぬトラブルを防ぐためにも、個人で取り寄せた海外の薬を服用することはしないようにしてください。

理由2：成分量が不安定

個人輸入の薬には、
・過剰な薬効成分による健康被害
・薬効成分がまったく含まれていないニセモノの薬
という落とし穴が潜んでいます。
成分が多いからといって効果が出やすくなることはないですし、薬効成分の含まれない薬で薄毛が改善することもまずありません。時間とお金をムダにしないためにも、プロペシアは然るべきルートで購入し、医師の診断のもとに治療を進めるのが望ましいでしょう。

プロペシアとミノキシジルは併用すべき？

ミノキシジルは、頭皮の血行を改善し、髪の成長にかかわる細胞を増殖させることで発毛を促す攻め系のAGA治療薬です。プロペシアは守り系の薬であり、薄毛に対するアプローチが異なります。医師と相談し、必要があれば併用されることでの治療もできます。。

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