遺産整理で発生する相続税とは?相続に関する手続きと時期も解説
更新日: 2024年12月10日
人が亡くなると、その直後からさまざまな手続きが必要になります。故人の遺品整理は、身の回りから財産にかかわるものまで。故人の遺産は、遺言書があれば遺言書に従います。遺言書がない場合は、話し合いによって遺産分割協議書を作成し、相続人に引き継がれます。遺産が4,000万円以上あれば相続税を申告しなければなりません。遺産には、銀行預金や不動産のようなプラス遺産と、ローンのようなマイナス遺産があります。相続税対策として、債務控除(プラス遺産-マイナス遺産)を行い、マイナス遺産を控除します。相続は、故人の遺品整理から発生し、多くの時間を要します。相続税の申告にもかなり時間を要するため、専門家に相談するなど、早めに準備しましょう。
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遺品整理
家族が亡くなると、葬儀・役所への届け出・申告手続き、そして遺品整理とやるべきことがたくさんあります。遺品整理は、故人の所有物や財産を整理することをいいます。遺品処分・家財処分とも呼ばれています。遺品整理を行うタイミングは、葬儀後・四十九日後などが一般的です。故人の物品整理は、形見分け、売却または処分します。家財に関しては相続人が引き継ぎます。遺産相続には相続税を含め、さまざまな手続きが必要になります。手続きは期限が決まっているものが多いため、遺品整理では各種手続きを優先しましょう。
故人の身の回り整理
故人の身の回りにある遺品整理をします。まず故人の住宅ですが、賃貸であれば部屋の整理をし、少しでも早く退去の準備を進めてください。同時にライフライン(電気・ガス・水道)も停止します。日にちが経過すれば家賃も発生します。持ち家であれば相続人に任せ、住宅ローンの引継ぎ手続きなども行います。故人の所有物の片付けは、貴金属など売却できるものと、処分するものに分けます。売却ができるものは、買取業者などに査定してもらいましょう。また故人が遠方にいる場合は、遺品整理業者などの専門業者に代行してもらいます。遺品整理業者を選ぶ際は「遺品整理士」が在籍しているかを確認し、費用の見積もりを取りましょう。
故人の財産にかかわる整理
故人の財産にかかわる遺品整理は、義務と権利を引き継ぐ相続人が行います。遺言書や目録などがあれば整理しやすいですが、ない場合は現金も含め探し出しましょう。
・預金通帳、キャッシュカード、印鑑:口座は死亡を知らせると凍結口座になってしまう
・クレジットカード:会費の引き落としがある前に解約
・生命保険証書:死亡保険金を受け取る場合に必要
・土地や家の権利書、不動産関係の書類:遺産分割協議の対象、相続登記後は相続税を申告
・健康保険、年金:年金支給を停止
・美術品や骨董品、宝石:高額で売却できた場合は相続税を申告
遺産相続人について
故人の家族でも、関係性により遺産を相続する割合が変わってきます。法的に相続の権利のある人を「法定相続人」といいます。被相続人から、常に相続人:配偶者、第1順位:子供・孫、第2順位:直系尊属(父母や祖父母)、第3順位:兄弟姉妹の順位で相続が決まります。相続人が相続する割合を「法定相続分」といい、被相続人の遺産を法定相続人の順位によって、遺産を受け取る割合が決まります。
相続発生後に関する手続き
家族が死亡すると残された家族に相続が発生します。相続人が故人の遺品整理を行うのが一般的です。ます、各種手続きから始めましょう。遺品整理をスムーズに行うために、チェックリストを作成するとよいでしょう。
【死亡後】
・病院で死亡診断書、事故の場合は警察で死体検案書を出しもらう
・市区町村で死亡届を提出、火葬許可を申請。火葬場で埋葬許可証をもらう
・故人が会社勤めの場合は退職届を提出
【葬儀後】
・相続人と相続財産を査定
・遺言者がある場合は家庭裁判所で検認手続き
故人に家族がある場合は、14日以内に「世帯主変更届」を提出、 健康保険・介護保険の資格喪失届を提出します。
相続発生後:3か月以内
・相続放棄、限定承認の申し立てを家庭裁判所にする
遺産相続には、プラスとマイナス両方の遺産相続の対象になります。「相続放棄」は、プラス価値のある不動産や預貯金などを相続しないことで、マイナス価値となる借金や債務保証を遺産放棄できる手続きです。「限定承認」は、相続した遺産で借金などの負債を弁済し、残ったプラス価値の遺産を相続するための手続きです。故人の負債を相続したくない場合は、3か月以内に手続きしましょう。
相続発生後:4か月以内
・所得税の準確定申告
・青色申告の引継ぎ
故人に所得あれば、相続人が代わりに所得税を申告することを「準確定申告」といいます。また、故人が営んでいた事業を相続人が引き継ぐ場合、税務上の手続きが必要です。税務署で「青色申告承認申請書」を提出し、所得税を青色申告で行います。所得控除の額が増えるなど有利になります。
相続発生後:10か月以内
・相続税を申告
故人の遺産は(1)遺言書の内容に従う方法と(2)遺産分割協議書:相続人全員の合意のもと遺産の分け方を決める遺産分割協議という方法があります。法定相続人によって分割される割合は、「配偶者と子」配偶者:1/2、子:1/2、「配偶者と父母」配偶者:2/3、父母:1/3、「配偶者と兄弟姉妹」配偶者:3/4、兄弟姉妹:1/4 ※子・父母・兄弟姉妹がそれぞれ複数いれば人数で均等に分けます。
【相続税】
相続税は基礎控除額を超えた場合に申告し、基礎控除額以下の場合は相続税はかかりません。「基礎控除額:3,000万円+600万円×相続人の数」、相続税は相続人の人数によって増減します。相続税の申告期限は、故人の死亡日より10か月以内に申告しなければなりません。専門的なことは税理士に相談しましょう。
相続発生後:1年以内~5年以内
【1年以内:遺留分減殺請求】故人の配偶者や子供には、遺産を最低限相続できる遺留分が認められています。しかし遺留分に満たないときは、遺産を多く相続した人へ「遺留分減殺請求」として請求できます。内容証明郵便などで直接申し出ます。
【2年以内:葬祭費・埋葬料・高額医療費・死亡一時金】故人が加入していた制度により支給されます。
・葬祭費:国民健康保険|喪主に3~5万円(市区町村により異なる)
・埋葬料:健康保険|組合から5万円(埋葬費:生計をともにしていない喪主には実費支給)
・高額医療費:健康保険|故人の医療費が規定一定額を超えた部分を払い戻し
・死亡一時金:国民年金|故人が国民年金第1号被保険者で老齢基礎年金などを受給できなかった場合、12~32万円が一時金としてもらえる
【5年以内:未支給年金、遺族年金・寡婦年金】
・未支給年金:日本年金機構|死亡月までの未支給分の年金を請求
・遺族年金・寡婦年金:日本年金機構|故人に生計を立ててもらっていた家族は、配偶者の有無や子供の年齢によって請求
相続税と債務控除
故人の財産にかかわる遺産整理の中で、債務関係も相続人が相続します。その場合、債務控除を行い相続税を軽減します。債務控除は、遺産整理において、「プラス財産-マイナス財産」のことをいいます。相続税は、債務控除を行った財産について課税されるものです。相続税を少しでも減らしたいときは、遺品整理をするとき、プラス・マイナス双方の財産について把握することが大切です。
相続税対策
相続税対策として、特例を利用して相続税を軽減します。
1)配偶者が遺産を相続した金額が、1億6,000万円まで、また法定相続分であれば相続税はかからない
2)小規模宅地などの特例は、土地を相続したとき最大80%まで土地の評価額を下げられ、相続税を軽減
3)納税猶予特例は、故人の農業を引き継ぎ農地を相続した場合や、故人がオーナーの会社の株式を相続した場合も適応される
債務控除の対象
債務控除は相続税対策の重要事項です。故人のマイナス財産に該当するものを紹介します。
1)債務関係:故人の死亡ときに確定している債務
「住宅ローン残額」「税金(固定資産税)」「借金」「入院費用」は、プラス財産から差し引きます。
2)葬式費用:故人の葬祭にかかわる費用
葬儀費用、通夜・告別式にかかる飲食費用、お布施・戒名の料金・読経料・心付け、火葬・埋葬・納骨にかかる費用など、債務ではないがプラス財産が差し引けます。
債務控除の対象外
故人の死亡後に発生する可能性がある債務は対象外になります。
1)死亡後に発生する遺産分割協議にかかる弁護士費用
2)相続した財産の維持管理費(相続した財産から賄う)
3)保証債務は、死亡時点で決定していない場合
4)時効を迎えた債務は、債務自体が消滅しているため
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