賃貸の退去時トラブルの対処法|費用や注意点など合わせてご紹介
更新日: 2024年4月24日
賃貸物件は契約時や入居中などさまざまなトラブルがついて回るもの。特に退去時は金銭がらみのトラブルが起こるタイミングとして知られています。しかしどんなトラブルが起こりがちなのかあらかじめ知っていると、事前にそれを回避できるかもしれません。ここでは賃貸物件の退去時におけるトラブルの主な事例やその対処法、費用や注意点などをまとめました。退去時に重要なキーワードとなる「経年劣化」「通常摩耗」「原状回復」についてや、トラブルに巻き込まれた場合の相談先なども取り上げます。「引っ越しを考えているけど、退去時にクリーニング費用は請求されるのだろうか」といった悩みをお持ちなら、ぜひ参考にしてください。
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賃貸退去時の主なトラブルとは
賃貸の退去時は特に金銭トラブルが多いタイミング。約半数の人がトラブルを経験しているというデータもあり、国民生活センターには毎年多くの相談が寄せられています。トラブルには掃除を怠ったために多額の修繕費がかかったなど借り手側に原因があることもあれば、貸し手側のミスや料金上乗せなど悪質な場合もあります。ここでは具体的にどのようなトラブルが起こりがちなのか、その事例をまとめました。
敷金が返金されない
そもそも敷金は退去時に原状回復費用に充てるため、あらかじめ管理会社や大家さんに預けておくお金です。そのため退去すぐ返金されるわけではなく、一般的には退去日から2カ月以内の返金がことが多いよう。また契約書に「敷金2カ月(解約時償却1カ月)」と書かれていたら、1カ月分は償却され、残り1カ月分だけが返金されるということになります。
入居時からあったキズなどの修繕費を要求された
このトラブルを防ぐためには、入居時に借り手側が最初からあったキズや汚れを写真撮影しておくのが一番。しかし写真を撮っていないからといって支払わなければならないかといえば、違います。本来、原状回復費用を請求するなら証拠を提出しなければならないのは貸主です。これを“債権者の立証責任”と言い、借主が写真を撮っていないからといって不利にはなりません。
ハウスクリーニングとして高額な費用を請求された
このトラブルは悪質なものが多く、中には100万円以上もの請求を受けたというケースもあります。この場合は原状回復だけでなく、次の入居者のためのリフォーム工事などが上乗せされていることも考えられます。修繕費用に納得がいかない場合は貸主にしっかりとした説明を求めましょう。もしそれでも納得できない場合、後述する専門機関へ相談することをおすすめします。
原状回復のガイドラインとは
「キズをつけてしまったけど退去時に修繕費用は請求されるのだろうか」と心配な人も多いでしょう。結論から言うと、入居中に発生したキズや汚れのすべてを借主が負担するわけではありません。そこでキーワードとなるのが「経年劣化」「通常摩耗」「原状回復」です。ここではそれぞれの意味と具体的な例、またその関係性などを詳しく取り上げます。ぜひチェックしてみてください。
経年劣化とは
経年劣化とは年がたつにつれ品質が下がることです。例えば日光があたることによる壁や畳の日焼け、黄ばみなどはこれに該当します。その他、トイレやバスルームの壁の黄ばみやパッキンの故障なども経年劣化の範囲。経年劣化のポイントは「掃除などを怠っていない」「故意ではない」ということ。そのためタバコによる黄ばみや、家具でついた床のキズなどは原状回復の対象となることがあります。
通常摩耗とは
通常摩耗とは生活していく上で自然につくキズのこと。タンスなどを置いたことによる床のヘコミや、テレビや冷蔵庫による壁紙の電気ヤケがこれに当たります。また下地のボードを貫通しない程度の押しピンの穴も通常摩耗の範囲内。しかし下地ボードの交換が必要なほどの穴を開けてしまうと原状回復の対象となり、修繕費用を請求される可能性があります。
原状回復とは
賃貸物件を借りると、借主には原状回復の義務が生じます。原状回復の義務とは、不注意でキズをつけたり掃除を怠ったためにできた汚れなどの修復費用を借主が負担するということです。原状回復の対象となるのはタバコによるヤニ汚れやニオイ、バスルームやトイレの水垢やカビ、子供の落書きなど。そのため掃除を怠らずに丁寧に生活していれば、原状回復費用はそれほどかからないということになります。
経年劣化と現状回復の関係とは
借主の過失によるキズや汚れはすべて負担しなければならないのかというと、そうではありません。原状回復費用は経年劣化と通常摩耗分を差し引いて考えるのが基本。そのため耐久年数と入居年数から残存価値を割り出し、そこから借主が支払うべき金額が算出されます。しかし耐久年数を超えた設備でも故意・過失によって破損した場合、その修理費用の一部を借主が負担しなければならないことがあります。
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原状回復費用を抑えるために
壁紙の張替えの相場は1平米あたり約1,000円から1,500円で、襖の張替えは1枚2,000から3,000円ほど。畳の表替えは1枚約5,000円で、6畳和室だと約3万円かかります。かかる費用は地域や物件、グレードによって異なりますが、今できることをしておくと退去時の費用が抑えられることも。ここでは退去日までにしておきたいいくつかの対応をまとめました。
壁紙の補修
基本的に押しピンなどの穴は通常利用の範囲なので原状回復の義務はありませんが、あまりに目立つようならホームセンターなどで売っている補修キットで修理しましょう。壁紙のめくれは入居者負担ではありますが、壁紙を貼るには技術が必要なのでおすすめできません。ただし小さいめくれなどは似たような壁紙を探し出し、貼り付けることができます。
床の補修
床に目立つキズがある場合、自分で修復してみるのもひとつの手。壁紙同様、補修キットはホームセンターなどで入手できます。ただし補修にはそれなりの技術が必要。下手すると逆にキズが目立ってしまう可能性もあるので、最初は部屋の隅などの小さなキズで試してみましょう。またホームセンターの店員に使い方やコツなどを聞いてみるのもおすすめです。
キッチンや水回り、バス・トイレの清掃
キッチンやコンロ周りの油汚れや黒ずみ、換気扇の汚れなども入居者の原状回復義務の範囲内。汚れが雑巾で落とせる程度であれば問題ありませんが、汚れがこびりついてしまっている場合はクリーニング費用を請求される恐れがあります。同様にバス・トイレの水垢やカビもしっかり落としておきましょう。そうすることで敷金が多く返金される可能性があります。
賃貸の退去時にトラブルになった場合は?
退去時に起こりがちなさまざまなトラブルを紹介してきましたが、それらの問題は下記機関で相談できます。退去時のトラブルは金銭に関わるものが多いため、泣き寝入りせず専門機関でサポートを受けましょう。また原状回復について詳しく知りたい時は、国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考にするのもおすすめです。
国民生活センターなどに相談する
管理会社が相談に応じてくれなかった場合は国が運営する機関の国民生活センターや、不動産取引に関する相談に対応している各都道府県の窓口、敷金返還トラブルを始めとする不動産関連の相談を受け付けている不動産適正取引推進機構、賃貸住宅に関する相談窓口がある日本賃貸住宅管理協会などへの相談がおすすめ。どの機関も無料で相談を受け付けています。
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日本司法支援センター(法テラス)に相談する
法律の専門家から具体的なアドバイスを求めるのもおすすめ。法テラスでは無料法律相談を受け付けており、相談内容に合わせて解決に役立つ地方公共団体や弁護士、消費者団体などを無料で紹介しています。また訴訟に発展した場合は必要に応じて弁護士や司法書士費用の立替を行い、トラブルに巻き込まれた人を積極的にサポートしています。
賃貸退去時のトラブルを避けるために
家賃を払っているとはいえ、賃貸物件は貸主の財産。あくまで借りているものという認識を忘れずに、普段からこまめな掃除を心がけて丁寧に生活しましょう。もちろん退去する時はきれいな状態で返すことがマナーです。そしてもし退去時に敷金返還トラブルなどに巻き込まれたら、一人で悩まずに専門家に相談して適切なサポートを受けてくださいね。
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