「スペインの最も美しい村」を紹介！断崖の白い村から絵画のような漁村まで

「スペインの最も美しい村」とは？

スペインには、長い歴史の中で培われた文化や建築物が数多く残されており、雄大な自然の中に時の流れを忘れたような昔ながらの小さい村が、各地に点在しています。2011年に設立された「スペインの最も美しい村」協会では、そんな美しい村の中から人口や村内の環境、宿泊施設や案内板などについての厳正な審査をクリアした「スペインの最も美しい村」を選出。2021年8月の時点で104の村が認定を受けています。協会は様々なメディアを通してこの美しい村々を世界に発信しており、知る人ぞ知るスポットとして観光者からも注目されています。

一生に一度は訪れたい！おすすめの「スペインの最も美しい村」を紹介

■断崖に築かれた白い村「セテニル・デ・ラス・ボデガス」

セテニル・デ・ラス・ボデガスは、南スペインのアンダルシア州に点在する「白い村」のひとつです。川に浸食されてできた断崖の隙間を埋め込むように、白壁の家々が並ぶ「洞窟住居」が特徴で、自然と住居がダイナミックに融合した様子が楽しめます。村の中には、12世紀築の「要塞の塔」や「聖ベニート教会」、街歩きスポットとして人気の「影の洞窟通り」など見どころも豊富。中でも村の最も高い所に建つ「聖母エンカルナシオン教会」の、厳かなゴシック様式の建物と、15世紀に描かれたとされる聖母被昇天の絵画は必見です。

アンダルシア州には他にも美しい村がいくつか見られるので、詳しく知りたい人はこちらをご覧ください。

■のどかな自然とイベリコ豚を堪能「ラ・アルベルカ」

サラマンカ県南部にあるラ・アルベルカは、人口1,100人ほどの小さな村です。国立自然公園の中に位置しており、周囲には渓谷や森、野生のヤギやシカが生息し、手付かずの自然が見られます。村には木材と石を巧みに組み合わせた家々が中世の頃のままの姿で残されており、1940年にはスペイン初の歴史保存地区にも指定されました。花で彩られた「マヨール広場」や刺しゅうなどの伝統工芸をはじめ、この土地ならではの素朴で美しい生活風景も魅力のひとつ。イベリコ豚の産地としても有名で、村の肉屋では天井から無数の生ハムの原木がぶら下がるユニークな光景を見ることができます。レストランでは生ハムやほほ肉をはじめ、絶品のイベリコ豚をリーズナブルな価格で堪能することも可能です。

このエリアには他にも美しい村があるので、ぜひ足をのばして訪れてみてください。

■エキゾチックな要塞の村「アルケサル」

アラゴン州にあるアルケサルは、セビル山のふもとを流れるベロ川に囲まれた小さな村です。元々はイスラム教徒が支配していた天然の要塞でしたが、11世紀にキリスト教徒が奪還。レンガ造りの家屋や回廊が建ち並ぶ村には、今なおイスラム時代の面影を残すエキゾチックな雰囲気が漂っています。村の最も高い場所には、9世紀に造られた城を起源とする「聖マリア・ラ・マヨール参事会教会」がそびえており、ロマネスク様式の回廊や美しいフレスコ画、緻密な彫刻の数々に圧倒されるでしょう。村の全景をカメラに収められる展望所は、絶好のパノラマスポットです。

村の周辺には、他にも「美しい村」や世界遺産に登録されている先史時代の壁画が残る「シエラ・デ・グアラ渓谷」をはじめとする見どころがいくつかあるので、ぜひこちらもチェックしてみてください。

■中世の町並みと史跡が残る「サンティジャーナ・デル・マル」

スペイン北部カンタブリア州の長閑な自然の中に点在する小さな村のひとつ、サンティジャーナ・デル・マル。フランスの哲学者であるサルトルが「スペインで最も美しい村」だと称賛したとも言われており、村には中世の趣ある雰囲気が色濃く残っています。ロマネスク様式が優美な12世紀の教会「サンティジャーナ・デル・マル参事会教会」や、「メリノの塔」、「バレダ-ブラチョ宮殿」をはじめ、歴史深い史跡やミュージアムもたくさん。郊外には世界遺産の「アルタミラの洞窟壁画」があり、レプリカを公開する博物館が一般公開されています。国営ホテル「パラドール」が2軒もある珍しい村です。

■海に臨む高台から地中海を見渡せる「ペニスコラ」

バレンシア自治州北部にあるペニスコラは、地中海沿岸に面した小さな村です。海に向かって突き出した半島状の高台には旧市街があり、白壁の建物が集まった美しい街並みの上に巨大な城がそびえています。城内では礼拝堂や武器庫、ワインの貯蔵庫といった各部屋の見学をしながら往時の様子に思いをはせることが可能。パティオからは地中海も望むことができ、夕日や朝日の時間は特に絶景です。また、城の周辺には眺めの良いレストランや多彩な物がそろう土産物屋、海水浴ができる白砂のビーチなどもあるので、潮風を感じながら美しい街並みをのんびり楽しめます。

■歴史的建造物とともに行事やグルメを楽しめる「チンチョン」

マドリードの中心部から45kmほど離れた場所に位置するチンチョンは、ブドウやオリーブの畑に囲まれた歴史深い村です。村を象徴するスポットである「マヨール広場」は、柱廊や緑の木製バルコニーが印象的な、歴史ある建築物に囲まれています。野球場ほどの広さを持つこの広場で、かつては闘牛や芝居、宗教裁判などが行われていました。今でもカーニバルや中世市場、闘牛などの行事がここで行われており、村人たちの生活の中心として親しまれています。また「80日間世界一周」や「真夜中の鐘」などの映画の舞台となった広場です。通常時にも建物内には数多くのレストランが軒を連ねており、食事やお酒を楽しめる場所として多くの観光客でにぎわっています。

マドリードの周辺エリアには、チンチョン以外にも「美しい村」をはじめとする見どころが豊富なので、詳細が知りたい人はぜひこちらも参考にしてください。

■山間に佇む風光明媚な渓谷の村「ベヘット」

カタルーニャ地方で最も美しいとされるベヘットは、ピレネー山脈の渓谷に広がる小さな山村です。建物から小路、橋まであらゆるものが石でできており、豊かな緑の中に素朴で美しい景観を造り出しています。川に架かる2本の石橋は中世に造られたもので、そのたもとにある「サン・クリストフォル教会」は特に見逃せない観光スポットです。12世紀に建てられたこの教会はすらりと高い鐘楼をはじめ、鮮やかな木彫りのキリスト像、聖母マリアを模した雪花石膏像、ロマネスク様式の洗礼盤など見どころが豊富。村にはおいしいと評判のレストランもあるので、趣ある村の景色を楽しみながら散策や一服するのもおすすめです。

■絵画のような街並みと海辺のレジャーを満喫「クディジェロ」

スペイン北部の海沿いに位置するアストゥリアス州のクディジェロは、山の斜面に広がる美しい漁村です。港の周りを囲むように険しい崖がそびえており、その上に鮮やかな屋根や窓が目を引く家々がひしめくように集まっています。村にはゴシック様式が壮麗な16世紀の教区教会や、村内最古の建造物「エル・ウミジャデーロ礼拝堂」など見どころがたくさん。灯台や展望台を訪れたり、ビーチや魚釣りを満喫したりと思い思いの楽しみ方ができるのも魅力です。

■白い街並みとユニークな文化を楽しめる「テギセ」

スペイン南西部、大西洋に浮かぶランサローテ島は、火山地形の土地と白壁の建物とのコントラストが美しいカナリア諸島の島。かつての島都であったテギセは、白壁の街並みが青空に映える中核都市です。島都がアレシフェに移った後も、テギセは島の重要都市として注目されており、古い建築物や修道院、ミュージアムなど数々の見どころを有しています。宗教芸術美術館として公開されている16世紀の修道院「サン・フランシスコ修道院」や「サント・ドミンゴ修道院」、18世紀の知事の邸宅「パラシオ・デ・ロス・スピノラ」はその一例です。観光以外にも、カナリア諸島の名産品や工芸品がそろう日曜市を散策したり、屋台料理を味わったり、美しいビーチでのんびりしたり、ステージショーを鑑賞したりと様々な旅のひと時を過ごせます。

■オレンジの香りに包まれた石造りの村「フォルナルッチ」

バレアレス諸島マヨルカ島の谷間に広がるフォルナルッチは、オレンジやオリーブの木が植わる段々畑に包まれた、人口700人ほどの小さな村です。スポーツが盛んな地域でもあり、村の近くには山々の間を走るサイクリングコースや、岩場の海岸線なども見られ、自然の中でアクティビティを楽しめます。石造りの壁に囲まれた、迷路のような細い路地には緑豊かな鉢植えも多数並び、のどかな気分で街歩きを楽しむことが可能です。17世紀の防御塔や、かつてオリーブの搾油所であった村営博物館をはじめ、地域の文化や歴史に触れられる見どころも点在しています。

まとめ

スペイン各地に点在する「スペインの最も美しい村」の中には、大自然の中で人々が培ってきた生活や文化に触れることができる魅力的なスポットが数多くあります。秘境のような奥まった場所にある村も多いですが、世界遺産などの観光名所や、紹介したスポット以外の「美しい村」が周辺に見られる所もあるので、事前にしっかり調べておくと有意義な旅になりますよ。フォトジェニックな美しい村の景観を満喫するのはもちろん、村で暮らす人々のユニークな生活や文化に触れながら新しいスペインの一面を発見できるような、思い出深い旅を楽しみましょう。

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