ユスリカの駆除方法は？対策についても紹介！

夏の夕暮れ時に、小さな虫が集まって作る「蚊柱（かばしら）」。自転車に乗っていて蚊柱に飛びこみ、目や口に入ってしまったという経験を持つ人も多いのでないでしょうか。この蚊柱を作っているのは蚊によく似た虫、ユスリカ。地域によっては「頭虫（アタマムシ）」と呼ばれるように、人の頭の上で群れることもあります。蚊に似ていますが、人を刺すことはありません。ここでは夏の風物詩「蚊柱」を作るユスリカについて詳しくまとめました。知っているようで知らないユスリカの生態や蚊との見分け方、ライフサイクルの他、発生しやすい環境や時期、駆除方法なども紹介します。合わせて参考にしてください。

ユスリカとは？

ユスリカは節足動物昆虫網ユスリカ科に分類される生き物で、蚊やハエと同じ仲間。幼虫が水の中で体を揺するように動かすことからこの名がついたとされています。種類がとても多く、世界では約1万5000種、日本では約2,000種類のユスリカが生息しています。ここではあまり知られていないユスリカの生態や種類、見分け方などをまとめました。

ユスリカの生態は？

ユスリカの幼虫は水中や川底にたまった有機物を食べて成長します。成虫となって飛び立つ時は大量の水中有機物を水の外に持ち出すため、水質浄化の役割を担っているとされています。またユスリカの幼虫である赤虫は魚類のエサとしてなくてはならない存在。成虫になったユスリカも鳥などのエサとなり、自然のサイクルの大切な一部となっています。

ユスリカの種類、見分け方は？

大きさや色も蚊によく似ており、見分けがつきづらいユスリカ。日本には約2,000種のユスリカが報告されていますが、その中でも代表的な種がセスジユスリカです。この2種の最大の違いは「吸血するか、しないか」。蚊のメスが吸血するのに対し、ユスリカはオスもメスも吸血しません。また叩いた時、蚊のように鱗粉（りんぷん）が手につかないのも特徴です。

ユスリカのライフサイクルは？

セスジユスリカの場合、一度に約500個の卵を産みます。卵は2～4日で孵化し幼虫となり、脱皮を繰り返しながら15～20日でさなぎになって、2日ほどで成虫に。成虫の寿命は短く1日から5日ほどで、その間に交尾・産卵します。ユスリカはこのサイクルを3月頃から12月上旬頃までの間に7～8回繰り返します。中でも一番多く発生するのは夏から秋の時期です。

ユスリカによる被害は？

ユスリカは蚊によく似ていますが、蚊のように人や動物の血を吸うことはありません。そのため害がないように思われますが、ユスリカの死骸はアレルギー症状を引き起こす可能性があります。また服についたユスリカをつぶすと黄色い液体がつくことも。ここではユスリカが発生しやすい時期や環境などを紹介しますので、参考にしてください。

ユスリカが発生しやすい時期は？

ユスリカは3月頃から12月上旬頃までの間に発生します。その中でも夏の初めから秋の終わり頃までが一番多く発生するため、ユスリカが作る「蚊柱」は夏の季語になっています。成虫の寿命は1日から5日と短いことから、大量発生しても見逃しがち。特に琵琶湖で発生するユスリカは「ビワコムシ」とも呼ばれ、迷惑ながらも“地元の風物詩”と認知されています。

ユスリカが発生しやすい環境は？

ユスリカは川底の汚泥内にある有機物を食べて育ちます。そのため汚泥の多い道路側溝や都市河川、下水処理場などで発生します。時には生活排水で汚れた“どぶ川”のような場所で大量発生することも。先述した「ビワコムシ」も琵琶湖に流れ込む生活排水が多い時に大量発生することがあります。汚れた水はユスリカが好む環境だと言えるでしょう。

ユスリカの好物は？

ユスリカの幼虫は川の底の汚泥に含まれる有機物を食べて成長します。しかしユスリカの成虫は蚊に似ているものの、オスもメスも吸血しません。それどころかほとんどのユスリカの種類は口や消化器が退化しているため何も食べられず、1週間ほどで寿命を終えます。ユスリカの成虫はその短い寿命を生殖活動のみに費やし、子孫を残します。

ユスリカの駆除方法は？

人を刺したり吸血したりといった直接的な被害がないユスリカですが、大量発生すると「洗濯物が干せない」「窓を開けられない」といった問題が出てきます。またユスリカが原因となるアレルギー性鼻炎を引き起こすこともあります。ここではユスリカに効果的な駆除方法を3種類紹介しますので、被害に悩まされている人は一度チェックしてみてください。

スプレータイプの殺虫剤を使用する

ユスリカ対策として手っ取り早いのが殺虫剤の使用です。スプレータイプの殺虫剤を網戸や窓ガラス、外壁、玄関灯などにスプレーするだけでユスリカを始めとする不快害虫を寄せ付けずに殺虫します。小さな子どもやペットがいるためスプレータイプの殺虫剤は少し不安という場合は、吊るすタイプや置くタイプの虫よけを使うとよいでしょう。

幼虫を羽化させない薬剤（昆虫成長制御剤）を使用する

幼虫を羽化させないことでユスリカの発生を防ぐ薬剤もあります。「昆虫成長制御剤」といい、ユスリカなど昆虫の脱皮や羽化をコントロールしているホルモンバランスを狂わせることで成長を阻害して死に至らせます。商品としては「ミディ水和剤」や「デミリン発泡錠」、「アルトシッドSR-10」などがあり、少量でも作用するように作られています。

大量発生の場合自治体に相談も

ユスリカが大量発生して困っている場合、住んでいる自治体や保健福祉センターに相談してみるのも一つの手。防除方法についてのアドバイスが受けられる場合があります。しかし多くの自治体は生態系や住民の健康へ及ぼす影響を考え、薬剤を使うような積極的な駆除をすることは少ないよう。その代わり河川や側溝の定期的な汚泥掃除を行っています。

ユスリカ発生の対策は？

これまではユスリカが発生した場合の駆除方法を相談してきましたが、ユスリカに悩まされる前に対策して防げたらそれが一番ですね。幸いユスリカは発生する条件がある程度決まっているので、その点さえ注意すればユスリカ被害を未然に防ぐことができます。ここではユスリカ発生を防ぐのに効果的な3つの方法を紹介しますので参考にしてください。

雑草や溜まり水などの発生源をなくす

ユスリカの幼虫は水の底にたまった泥に含まれる有機物をエサとします。そのため大きな植木鉢を放置したままで雨水がたまり、底に泥が沈殿しているような環境は注意が必要。このような溜まり水が近くにあるとユスリカはもちろん、害虫である蚊の発生にもつながります。また雑草を定期的に除去することもユスリカ発生の抑制に役立ちます。

忌避効果（近寄らなくする効果）をもつ薬剤の設置

スプレータイプの殺虫剤を窓や網戸、玄関灯などにまいておくのもおすすめ。ユスリカを寄せ付けずに駆除できます。置くタイプや吊るすタイプの薬剤を設置するのもよいでしょう。また幼虫が発生している場合はその発生源に薬剤を入れておくと羽化を防ぎ、駆除することができます。詳細は「ユスリカの駆除方法は？」を参照してください。

灯りの対策をする

ユスリカは多くの昆虫同様、蛍光灯などから発せられる紫外線に集まる性質があります。夜に灯りをつけているとユスリカが入ってくる原因になるため、遮光性のあるカーテンを利用するなどして灯りが外に漏れないようにしましょう。また玄関灯も紫外線を出さない防虫用蛍光灯を使用するなどの工夫をすると、ユスリカが集まりにくくなります。

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迷ったら業者に依頼しよう

ユスリカは刺したり吸血したりなど人に被害は与えません。それどころか汚れた水を浄化するなど自然のバランスを整える役割を担っています。そのため駆除は生態系を考える必要があり、その判断は素人には難しいもの。ユスリカに悩んでいたらプロの駆除業者に依頼しましょう。共存を視野に入れながら快適な生活環境を取り戻す手伝いをしてくれますよ。ぜひ一度相談してみてくださいね。

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