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■ユースホステルの歴史
ユースホステルは青少年が旅を楽しめるようにと生まれた宿泊施設です。その起源は100年以上前のドイツに遡り、「若者のために安全で安く利用できる宿泊場所を提供しよう」という運動が元になっています。
発起人になったのは、当時のプロイセンで学校教師をしていたリヒャルト・シルマンです。急速な工業化により汚染された空気の中で育つ子どもたちを心配し、自然の中での移動教室を発案。自然の中で過ごすうちに子どもたちが元気になっていくことから、さらに長期の移動教室も計画しました。当時は移動教室に使えるような宿泊施設がなかったので、宿探しに苦労したようですが、夏休みで使っていない学校を借りることができたのが、その後につながっていきます。
使っていない施設を借りているため、子どもたちは自分たちでなんでも行いセルフサービスを学びました。それをきっかけにして、子どもたちに徐々に自己管理の意識が芽生え、移動教室の教育効果についても世間に認められるようになりました。宿泊施設が増えれば、子どもたちにもっといろいろな経験をさせてあげられると、シルマンは協力してくれる施設へとアプローチをしていきます。地道な活動が実を結び、1912年に初めての専用ユースホステルが設置されることになりました。その宿は、今も稼働を続けているドイツのアルテナ城です。
この動きはヨーロッパを中心に広がりを見せ、今では世界80か国、約4000もの施設がある世界有数の宿泊施設グループになっています。
■日本でのユースホステルの歴史
日本にユースホステルの文化が持ち込まれたのは1951年、東京や日光、伊豆など13か所に設置されたのが最初です。利用者は一気に増えていき、導入から12年後の1963年には年間利用者数100万人を超えました。
日本でのピークは1972〜1973年でちょうど経済が安定成長期に入った頃です。当時の高度経済成長と相まって旅行もブームになり、日本の年間宿泊者数は340万人を超えて、協会の会員数は世界一位の63万人を誇っていました。
その後、ゆるやかに宿泊者数の減少が続いていましたが、2012年には再び増加に転じ、下げ止まりを見せました。さらに2015年には、前年から大きく伸びて年間宿泊者数40万人を突破し、ユースホステル人気再燃の兆しを見せています。外国人旅行者が増えている今、ユースホステルの人気はさらに拡大していくのではないでしょうか。
■海外の人に特に好まれているユースホステル
海外の人もユースホステルをよく利用しています。2015年の年間宿泊者数の内、約25%が海外からの渡航者です。基本的なシステムが同じであるユースホステルは、日本独自のルールがある旅館よりも使いやすいのだそう。宿泊者同士の交流と情報交換により、日本のマナーを理解している人も多く、すぐに仲良くなれます。宿泊費を抑えられるので、長期休みで数ヶ月日本にいる外国人に好まれており、ペアレントも日本について詳しく教えてくれるので、よりディープな日本旅行を楽しみたい人にも人気です。
海外の人と交流する場を探しているという人は、ユースホステルに泊まってみてはいかがでしょうか。
■旅行業界の流れが、体験を重視している傾向に
ユースホステルの利用者増加には、訪日観光客が増えているのももちろんですが、人との出会いや体験を重視する傾向も追い風になっています。インターネットである程度の情報を得られる今の時代に求められるのは、現地での生の声やそこに暮らす人から聞ける話です。そこでしかできない体験をしたいというのも、大きな理由のひとつです。
宿が用意した豪勢なおもてなしではなく、その土地の個性を感じ、ペアレントの温かみを感じられるのがユースホステルの魅力です。
世界中の誰とでも簡単に繋がれるようになった代わりに、日々のコミュニケーションは希薄になり、目の前に友達がいても疎外感を感じるという声も聞こえてきます。そんな時代にあって、ユースホステルは予期しない人との出会いと、濃密なコミュニケーションの時間をプレゼントしてくれます。