DER補助金を受けるには?DR補助金との違いや条件など、申請に必要な知識を解説

蓄電システムをはじめとする再生エネルギー設備は高額です。導入コストを削減する際に利用できるのが、国からの補助金制度のひとつであるDER補助金であり、2023年度においては家庭用蓄電システムに対して最大60万円が給付されます。一方でDER実証実験へ参加するなどの条件が設けられているため、申請前にDER補助金制度を理解しておくことが大切です。
この記事では、DER補助金制度の条件や注意点をはじめとする基礎知識にくわえて、混同されやすいDR補助金との違いを解説します。申請手順も紹介しているので、施工業者に申請を依頼せずに個人で申請したい際のひとつの参考にしてください。

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DER補助金とは

DER補助金とは「分散型エネルギーリソースの更なる活用実証事業」と呼ばれることもあり、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)の実証事業が行う、DER実証実験に参加する対象者に対して国が給付する補助金のことです。
DER補助金は指定されている設備に対して給付され、蓄電システムをはじめとして電気自動車に蓄えた電力を家庭や企業で使用できるV2H設備、ガスをエネルギーとして電気を作り出せる燃料電池エネファーム、エネルギーの使用量を確認したり制御できたりするHEMSなどが指定設備に該当します。補助対象者は、事業活動を営む者もしくは個人です。補助金を受けることで、高額である設備導入に対する金銭的負担の軽減が期待できます。

DER補助金の申請区分と補助上限金額

DER補助金制度では申請区分がA事業からC事業にわかれており、給付対象となる設備を新規で導入してDER給付金を申請する場合は、事業者や個人に関わらず全てC事業に該当します。補助上限金額は年度ごとに変わるだけでなく設備内容によって異なるため、環境共創イニシアチブによる公募要領を確認するとよいです。以下は2023年度における蓄電システムの補助金上限額であり、いくつかの条件のもとで上限額が決定されます。
・家庭用:初期実効容量3.2万円/kWhもしくは2.7万円/kWh
・産業用:蓄電容量5.3万円/kWhもしくは4.8万円/kWh
家庭用の蓄電システムにおける1台あたりの補助上限金額は60万円で、産業用においては1申請あたりの上限金額は1億円とされています。上限額が大きい補助金だといえるため、公募要領をしっかりと確認して申請ミスのないように注意しましょう。
参考: 一般社団法人環境共創イニシアチブ/令和5年度 蓄電池等分散型エネルギーリソース次世代技術構築実証事業(分散型エネルギーリソースの更なる活用実証事業)

そもそもDERとは

DERとは分散型エネルギーリソース(Distributed Energy Resources)の略称であり、家庭や企業の発電システムを活用することで発電所への依存度を下げる仕組みのことです。蓄電システムをはじめとする設備を導入した設置者は、自己発電によって安定した電力を得ることができます。電力自給率が向上することで火力発電をはじめとする発電所への依存度が低下し、化石燃料の使用を抑えたり脱炭素化が促進できたりする効果が期待されているのです。

DER実証事業による実証実験とは

DER実証実験では、実証者によって遠隔操作で蓄電システムの電気調整が行われます。次の2つのケースを想定し、蓄電システムの制御が可能であるかを確認する目的です。まずは市場に電力が余っているケースを想定し、発電した電力を蓄電システムに蓄える制御を行えるかを確認します。蓄電システムに発電した電力を蓄えることで、日中をはじめとする太陽光発電による発電量が電力需要を上回った際、出力抑制として余剰電力を捨てることを防ぐ狙いです。
次に市場に電力が不足しているケースを想定し、蓄電システムに蓄えていた電力を使う制御を行えるかを確認します。電力会社から電気を買わずにすむため、化石燃料による火力発電の稼働率上昇を防いだり発電所全体の負荷を軽減させたりすることが可能です。DER実証実験では蓄電システムの制御によって電力需給を平準化するだけでなく、火力発電をはじめとする大規模電源への依存を分散させる社会の実現を目指します。

混同しやすい、DER補助金とDR補助金との違い

DR補助金はDER補助金と同じく、蓄電システムをはじめとする対象設備を導入する際に申請できる国からの補助金です。DR補助金の目的は家庭や企業が発電する電力を利用して、電気の需要と供給のバランスを調整することにあります。たとえば災害などを理由に電力需給がひっ迫した際、遠隔操作によって家庭や企業が発電した電力を放電するなどして、発電所以外からも電気を供給できる状態にするものです。
DER補助金ではDER実証実験への参加が義務付けられますが、DR補助金では電力需給がひっ迫した際に蓄えていた電力を供給することが求められます。2011年3月に発生した東日本大震災において火力発電所が停止したことをきっかけに、電力需給ひっ迫時への対策の重要性が注目されるようになり、DRの取り組みが加速しました。
原則として国からの補助金制度では、同じ設備や工事に対して複数の補助金を申請することはできません。同一の内容でDER補助金とDR補助金の両方を受け取ることはできないため、自身がどのような内容でどちらの補助金を申請するかを適切に判断する必要があります。

DER補助金を受け取るための4つの条件

補助金額が多いとされているDER補助金制度では、正しくDER実証実験が行えるように複数の条件が設けられています。条件は導入する設備や家庭用・産業用などによって異なるため、事前の確認が大切です。

条件1. DER実証事業による実証実験への参加

DER補助金を受け取るためには、DER実証事業による実証実験に参加しなければなりません。DER実証実験では1年のうち定められた期間において、実証者が遠隔操作にて家庭や企業に設置している蓄電システムの電気調整を行います。言い換えればDER補助金はDER実証実験への参加報酬金でもあるので、実証実験への協力が必須とされるのです。
実証実験中は蓄電システムの設定変更が禁止されるだけでなく、発電システムを24時間インターネットに接続することが求められます。実証者や補助金制度の状況によって実証期間が異なるものの、1年のうち1週間程度の実証実験が3年に渡って行われるケースが一般的です。基本的に、設置者が特別な操作や対応を行う必要はないため、設置者の大きな負担にならないといわれています。

条件2. DER補助金対象の設備と事業者を選ぶ

DER補助金を希望する際は、環境共創イニシアチブにおいて指定された設備と事業所もしくは施工業者を選ぶ必要があります。くわえて、太陽光発電システムとIOTをはじめとするHEMSの設備が導入されていることも条件のひとつです。とくに設備においては、DER実証実験によって発電した電力の制御が行われることから、遠隔制御可能な蓄電システムや遠隔制御できるHEMSの導入が必須とされます。

条件3. DER補助金申請前に設備導入に関する契約を結んでいない

施工業者とDER設備導入の契約を結ぶ前に、DER補助金の申請を行います。設備導入契約を行うタイミングは、DER補助金の予約申請承認通知が届いてからです。手順を誤ってしまうと補助金が受け取れなくなるため、申請先である環境共創イニシアチブにて申請手順を確認してから行うようにします。

条件4. 蓄電システム購入価格と工事費の合計が目標価格以下である

蓄電システムでDER補助金を申請する際は、蓄電システム購入価格と工事費の合計が目標価格以下でなければなりません。たとえば2023年度においては、家庭用蓄電システムの目標価格は14.1万円/kWh、産業用蓄電システムの目標価格は16万円/kWhです。電力変換装置と蓄電システムが一体化されている場合は、蓄電システムに係る部分のみを切り分ける必要があります。蓄電システムの価格や工事費は業者によって異なるため、相見積もりを行って比較検討するとよいです。
参考: 一般社団法人環境共創イニシアチブ/令和5年度 蓄電池等分散型エネルギーリソース次世代技術構築実証事業(分散型エネルギーリソースの更なる活用実証事業)

DER補助金の4つの注意点

DER補助金は金銭的負担の軽減に役立ちますが、実証事業による実証実験に参加する必要があるなど、一般的な補助金制度とは異なる特徴があります。くわえてDER対象となる設備が限定されていたり、販売施工業者がDER補助金の認定事業者として登録されている必要があったりなど、条件の多さにも注意が必要です。

注意点1. DER補助金の予算が少なく、公募終了が早い

補助金の予算額は年々増加傾向にあるとはいえ、補助金受給希望者に対して予算が少ないといわれています。補助金制度は予算が尽きると公募が終了されるため、公募開始から数日で打ち切られることも少なくありません。たとえば2022年6月に公募を開始した際は、2日間で公募が終了しました。DER補助金を受けたい場合は、速やかに申し込めるように事前に準備しておくとよいです。

注意点2. DER補助金の交付が決定してから設備導入契約を結ぶ

DER補助金交付の対象者となるには、施工業者との契約を結ぶ前にDER補助金の申請を行う必要があります。一方で申請には、施工業者から取り寄せる見積書や事業計画認定書などの添付が必要となることから、申請と契約準備を平行して進めることが重要です。なかにはDER補助金の申請を手助けしてくれる施工業者があるため、申請や手続きに不安がある場合は申請のフォローを依頼できる施工業者を選ぶのもひとつの手だといえます。

注意点3. DER実証実験期間中は補助を受けた設備は処分できない

蓄電システムをはじめとするDER補助金を受けた設備は、少なくとも実証実験が終了するまで保有しておかなければなりません。処分や譲渡が禁じられており、なんらかの理由で手放す際は環境共創イニシアチブの承諾が必要です。場合によっては、補助金の返還が求められることがあります。

注意点4. DER実証実験期間中は電気代が増える可能性がある

DER実証実験は、実証者による遠隔操作によって進められるため特別な操作などは求められませんが、電気代が増える可能性があります。インターネットに24時間接続したうえで、蓄電システムの充電や放電が行われたり制御プランが変更されたりするためです。多くの電気代はかからないといわれていますが、DER実証実験が実行される月は普段とは異なる消費電力が発生すると考えておくとよいでしょう。

DER補助金の申請から受給までの流れ

DER補助金の申請は、認定販売施工業者か設備導入者自身が行います。必要書類は導入する設備などによって異なるうえ、入手に時間がかかる書類もあるため事前にチェックしておくとよいです。注意すべきは、設備導入契約と設備発注のタイミングであり、手順を誤るとDER補助金を受け取ることができません。以下は、DER補助金の申請から受給までの4ステップです。手続きの流れが変更となる場合があるため、必ず環境共創イニシアチブにて手順を確認したうえで申請を行います。

ステップ1. DER補助金の予約申請を行う

DER補助金を申請するには、環境共創イニシアチブのサイトより予約申請を行うことから始まります。申請に必要な交付申請書は環境共創イニシアチブのサイトよりダウンロードするか、DER認定事業者より入手可能です。ほかには個人であれば身分証明書、法人であれば事業に関する書類などを用意したり、施工業者より見積書や導入予定の設備詳細についての書類を揃えたりする必要があります。用意する書類が多いため、できればDER補助金の公募開始前に揃えておくのがおすすめです。

ステップ2. DER補助金の予約決定通知書が届く

予約申請が認可されると、申請から3週間程度で予約決定通知書が発行されます。予約決定通知書には有効期限が定められているため、期限内に設備導入契約を結んだうえで交付申請届出書を提出しなければなりません。なんらかの理由で期限内に契約が結べないのであれば、有効期限内に交付申請遅延届出書を提出します。

ステップ3. DER補助金の交付決定通知書が発行される

交付申請届出書を提出後、正式に認可が下りると交付決定通知書が発行されます。交付決定がなされてから設備の発注を行うことが原則です。交付決定通知書が発行される前に設備の発注を行ってしまった場合は、補助金の対象外となるため注意します。

ステップ4. DER補助金を受け取るための実績報告を行う

DER対象設備の導入と支払いまでを済ませた内容を実績報告書にて提出します。実績報告書には領収書の添付が義務付けられているため、誤って請求書を添付しないように注意が必要です。実績報告では、導入した設備に電力が供給されていなくても問題ありません。少なくとも、電源を入れると稼働状態になるようにしておくとよいです。
実績報告書によって計画どおりに導入が完了したと判断された際、補助金額の決定通知書とともに補助金が給付されます。

まとめ

DER補助金は需要の高い補助金制度であり、速やかに申請手続きを進める必要があります。施工業者から取り寄せる書類も多いため、公募開始前には書類を揃えておきたいところです。場合によってはDER補助金の申請サポートを行ってくれる認定施工業者もあるため、手続きに不安がある際は相談したり申請手続きを依頼したりするのもよいといえます。
DER実証実験に参加するなどの負担があるとはいえ、DER補助金の金額は多いです。積極的に補助金制度を利用して、大幅なコスト削減を実現しましょう。

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