家庭用蓄電池とは?メリット・デメリットや価格相場、補助金などを徹底解説

持続可能な社会の実現に向けて世界中でさまざまな取り組みがなされています。クリーンなエネルギーの普及・導入もそのひとつで、日本でも太陽光発電システムなど再生可能エネルギー設備の導入については国や自治体が補助金を用意し、普及を促進しています。太陽光発電で生まれた電気をより効率的に活用するには蓄電池と連携するのがベスト。しかし蓄電池にはメーカー、種類、容量などがいろいろあるのでどれを選べばよいか分からないという人も多いと思います。

ここでは家庭用蓄電池の基礎知識に加え、メリットやデメリット、補助金、費用目安などについてまとめました。選び方やおすすめメーカーなども取り上げますので合わせて参考にしてください。

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家庭用蓄電池とは?

家庭用蓄電池は太陽光発電で作ったり電力会社から買ったりした電気をため、必要な時に供給できる設備のことです。ためた電気は電力会社の供給に頼らず好きな時に利用できるので、電気代の節約はもちろん思わぬ災害発生時などにも役立ちます。家庭用蓄電池は電気をためる蓄電ユニットやパワーコンディショナー、リモコンなどで構成されており、蓄電できる容量やサイズもさまざま。そのため家族構成や電気の使い方などライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。

また家庭用蓄電池については自宅のコンセントで充電する「移動式(ポータブル型)」と容量が大きく配線工事が必要な「系統連系型(定置型・据え置き型)」の2種類があり、それぞれメリットやデメリットがあります。それについては後述する「家庭用蓄電池の選び方は?」でも触れますので、合わせて参考にしてください。

家庭用蓄電池の使い方は?

家庭用蓄電池にためられる電気は大きく分けて2種類あり、ひとつは太陽光発電で作った電気、もうひとつは電力会社から買う電気です。ここではそれぞれを解説していきます。

太陽光発電で作った電気をためる

二酸化酸素を発生しない太陽光発電は再生可能なエネルギーとして環境に優しく、また電気代が高騰している昨今、電気代の節減にも役立ちます。その太陽光発電で作った電気をさらに活用できるのが蓄電池です。太陽光発電は電気を作ることはできますが、ためることはできません。しかし家庭用蓄電池と連携することで使いきれなかった電気をため、夜間や雨天時に利用することができます。

災害時の対策としてもおすすめ。太陽光発電で作った電気を蓄電池でためておけば停電時でも電気を使えるので安心です。

電力会社から買う電気をためる

オール電化の家庭など夜間の電気料金が安いプランに加入している場合、夜間蓄電池に電気をためておくと料金単価が高くなる日中の電気代を抑えることが可能です。また災害など停電時に備え、電気を蓄電池にためておくこともできます。この場合太陽光パネルを設置していない家庭でも蓄電池を導入できるというメリットがあります。

ただし太陽光パネル設置なしで蓄電池を導入した場合、電力会社からの供給が断たれ停電が長引くと充電できず、そのうち電気が使えなくなってしまうというデメリットがあります。

電気自動車(EV)を蓄電池代わりに利用することも可能

電気自動車(EV)の大容量バッテリーを蓄電池代わりとして利用したいという人もいるでしょう。EVから自宅に給電するには新たにV2Hシステムを導入する必要があります。V2Hとは「Vehicle to Home(車から家へ)」という意味合いがあり、EVを充電するだけでなく、自宅への給電も可能です。

この場合「家庭用蓄電池よりも大容量」「自宅へ長時間の給電が可能」といったメリットを受けることができますが、「初期費用が高額」「電気自動車のバッテリーの劣化が通常よりも早くなる」といったデメリットもあります。

固定買取制度(FIT)が終了する人にも蓄電池は最適

すでに太陽光発電パネルを設置しており、再生可能エネルギーの固定買取制度(FIT)が終了する家庭にも蓄電池は選ばれています。10年間の固定買取期間が終わると売電価格が大幅に下がるため、売電していた余剰分を家庭用蓄電池にためて電気代節約や災害時対策として有効利用しようという考えの家庭が増えてきているからです。そのためこれから固定買取制度を利用するという人でもFIT終了後のことを考えると、蓄電池の設置はおすすめです。

次の章では売電した場合と自家消費した場合の収益を表にまとめましたので参考にしてください。

家庭用蓄電池を設置するとどれくらいお得になる?

ここでは太陽発電で発電した余剰電力を電力会社に売電する場合と、蓄電池を設置してすべて自家消費する場合の20年間の収益を簡単に表にしました。

前提条件として売電価格は16円/kWh(売電期間終了後は8円/kWh)、電気料金は30円/kWh、太陽光パネルの容量は5kW(年間発電量5,500kWh)とします。

・電力会社に売電する場合

年数 試算 収益
1~10年目 5,500kwh×16円×10年 880,000円
11~20年目 5,500kwh×8円×10年 440,000円
収益 合計 1,320,000円

・蓄電池を設置してすべて自家消費する場合

年数 試算 収益
1~20年目 5,500kwh×30円×20年 3,300,000円
収益 合計 3,300,000円

簡単な試算ではありますが、単純計算しても収益の差は1,980,000円となり、蓄電池の設置費用を差し引いても自家消費する方がメリットが大きいと言えます。そのためFIT終了後の売電価格の安さに悩んでいる人は今からでも蓄電池の設置がおすすめ。早めに導入することで生涯の経済メリットはより大きくなります。

家庭用蓄電池のメリットは?

「家庭用蓄電池の使い方は?」で触れたように、蓄電池を導入することで自家消費しきれなかった電気をため、夜間や雨天時に利用して電気代を抑えることができます。また電力会社の供給に頼らずに電気が使えるので、災害時の対策としても有効です。

このように蓄電池の主なメリットは電気代の節約と災害時対策が同時にかなうことです。太陽光パネルを設置していなくても電力会社からの電気をためることで蓄電池を活用することはできますが、この場合長期間の停電が続くと電気が使えなくなってしまうので注意が必要です。

家庭用蓄電池のデメリットは?

このようにメリットが多い家庭用蓄電池ですが、いくつかデメリットがあるのも事実です。主なデメリットは以下の3つなのでしっかり押さえておきましょう。

・初期費用が高額
・設置場所を取る
・充放電回数に限りがある

ここではそれぞれについて詳しく解説していきます。

初期費用が高額

1台あると電気代節約にも災害時の非常電源としても役立つ家庭用蓄電池ですが、初期費用が高額になるのが大きなデメリットです。家庭用蓄電池の本体価格は50~150万ほどで、さらに30~50万円程度の設置費用がかかります。初期費用を抑えるためには補助金制度をうまく利用しましょう。家庭用蓄電池の費用目安や補助金制度の詳細は後述する『蓄電池の「蓄電容量・1kWhあたり・種類」別の価格相場』や『家庭用蓄電池の補助金は?』で詳しく解説します。

設置場所を取る

家庭用蓄電池のサイズは屋内用ならエアコンの室外機1台分程度、屋外用ならエコキュートの貯水タンク程度の大きさがあります。そのためマンションなど集合住宅で使用できるスペースが限られている人は注意が必要です。

また家庭用蓄電池は結露や過熱を防ぐため直射日光が当たらない風通しのよい場所に設置するのが基本なので、一戸建てでも設置場所をしっかり考えて確保する必要があります。
家庭用蓄電池を屋外に置く場合の設置場所についての詳しい記載は「家庭用蓄電池を選ぶ時の考え方は? /設置場所から考える(屋外の場合)」にあるので、合わせて参考にしてください。

充放電回数に限界がある

蓄電池の多くはリチウムイオン電池を採用しています。そのため同じくリチウムイオン電池を搭載しているパソコンやスマートフォンが劣化するように、蓄電池も経年劣化します。蓄電池の寿命は約10~15年。寿命を迎え、充放電回数の限界を超えると蓄電できる容量も徐々に減っていくため、交換する必要があります。充放電サイクルは平均6,000回ほどですが中には12,000回というモデルもあり、メーカーによって違います。長く使うためにも導入を検討する際はこの点もしっかり抑えて選びましょう。

また主なメーカー別のサイクル数の目安を以下にまとめましたので、合わせて参考にしてください。

メーカー 品名 定格容量 サイクル
テスラ パワーウォール2 13.5kWh 5,000
伊藤忠商事 スマートスターL 9.8kWh 6,000
GP-STORAGE GP-STORAGE 11.5kWh 6,000
Looopでんち エネブロック 2.4kWh~14.4kWh 6,000
リミックスポイント リミックスバッテリー 11.5kWh 8,000
オムロン マルチ蓄電プラットフォーム 6.5kWh/9.8kWh/16.4kWh 11,000
長州産業 スマートPVマルチ 6.5kWh/9.8kWh/16.4kWh 11,000
ニチコン トライブリッド蓄電システム 4.9kWh/7.4kWh
(9.9kWh/14.9kWh)
11,000
ダイヤゼブラ電機 アイビス7 7.04kWh/14.08kWh 12,000
シャープ JH-WB2021 9.5kWh 12,000
住友電工 POWER DEPO H 12.8kWh 12,000
京セラ エネレッツァ 5kWh/10kWh/15kWh 12,000以上

どんなモデルでも過充電や過放電を避け、常にある程度残量がある状態に保つと長寿命化につながります。そのため残量が0%になってあわてて充電するのではなく、30~50%での充電を心がけると本体の負担が減り、長く使うことができます。

蓄電池の「蓄電容量・1kWhあたり・種類」別の価格相場

ここでは蓄電池の蓄電容量や1kWhあたり、種類別の価格相場を紹介します。また一般的な家庭用蓄電池で最も多く選ばれている容量は5kWhや7kWhのモデルです。その点も合わせて参考にしてください。費用は業者や設置場所、プランなどさまざまな条件によって変動します。そのためあくまで目安程度にとどめてください。

蓄電池の蓄電容量による価格相場は?

一般家庭用の系統連系型(定置型・据え置き型)蓄電池を設置する場合、価格相場は本体+設置費込みで80~200万円ほど。10kWh未満であればだいたい160万円以下でおさまるケースがほとんどです。

基本的には蓄電容量が多く性能が高いモデルは価格が高くなりやすい傾向ですが、性能が高いものほど電気代節約や非常電源として役立ちます。そのためこのあたりは値段だけで選ばず、目的を考えながら選ぶことが大切です。またいくら性能が高くても家族構成や目的にあっていないと意味がありません。このあたりは後述する「家庭用蓄電池を選ぶ時の考え方は?」「家庭用蓄電池のかしこい選び方は?」を合わせて参考にしてください。

蓄電池の1kWhあたりの価格相場は?

1kWhあたりの価格相場はだいたい本体価格と設置費セットで15~21万円ほどです。もちろん業者により変動はありますが、単純計算で言うと5kWhの蓄電池なら75~105万円、7kWhの蓄電池なら105~147万円ほどの予算を見ておくとよいでしょう。

また配線工事費などその他の費用が別途上乗せされることもあります。そのため見積もりをもらう時には詳細や作業内容をしっかり確認しておきましょう。

蓄電池の種類ごとの価格相場は?

蓄電池の多くはリチウムイオン蓄電池を導入していますが、他に鉛蓄電池やNAS蓄電池、ニッケル水素電池を搭載した蓄電池もあります。ここではそれぞれの1kWhあたりの平均価格と特徴、寿命を表にしました。ぜひ検討に役立ててください。

蓄電池の種類 1kWhあたり平均単価 特徴 主な用途 寿命
リチウムイオン 13~20万円/kWh 需要過多で価格が高騰している 家庭用蓄電池やスマホ、EVに多く使用されている 10~15年
鉛蓄電池 5万円/kWh 安全性が高く安価な反面、エネルギー効率が低い 家庭用蓄電池や車のバッテリーに採用されている 約17年
NAS蓄電池 4万円/kWh 低価格で大容量 工場など大規模施設向け 約15年
ニッケル水素電池 10万円/kWh 安全性は高いが寿命が短い ハイブリッドカーのバッテリーなど 5~7年

家庭用蓄電池の補助金制度を詳しく解説

家庭用蓄電池を設置する際の補助金は国から支給されるものと、各自治体から支給されるものの2種類あります。ここではそれぞれを詳しく解説していきます。また補助金は近年の家庭用蓄電池の普及にともない年々減少傾向にあるので注意が必要。そのため高額な補助金を受け取れる今のうちに早めの導入を検討するのがおすすめです。

国の補助金制度

国の補助金制度は「蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業費補助金(分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業 [C事業])」、通称「DER等導入事業(C事業)」が一般的です。適用されるには「DERの実証に参加する」「SII(環境共創イニシアチブ)で事前登録される製品が対象」など条件がありますが、蓄電池の商品代および工事費の1/3以内を上限として補助が受けられます。

ただし補助は予算が決まっており、予算の上限に達し次第締め切り前でも終了となるので早めの申請がおすすめです。

また国の補助金を活用するためには「商品代および工事費の合計が1kWhあたり15.5万円以下」で販売する必要があり、高額で販売する訪問販売店などでは補助金が申請できないことがあるので注意しましょう。

参考: 一般社団法人環境共創イニシアチブ
参考: 一般社団法人環境共創イニシアチブ/家庭用蓄電システム製品一覧

自治体の補助金制度

都道府県や市町村が用意している制度もあります。補助額は各自治体によって異なり、「一律5万円」「上限10万円」などさまざま。また自治体の補助金予算額は非常に少なく公募開始後すぐ受付終了となることが多いので、早めの検討・申請がおすすめです。また公募要領も各自治体で違うので事前にしっかり確かめておきましょう。

蓄電池設置業者によっては補助金制度についてのアドバイスやサポートを行っているところもあります。そういった業者に依頼すれば負担が減るので、選ぶ時の判断材料のひとつとして押さえておきましょう。

家庭用蓄電池を選ぶ時の考え方は?

家庭用蓄電池は家族構成やライフスタイルはもちろん、設置場所や毎月の電気代などさまざまな方向から考える必要があります。家庭用蓄電池を選ぶ時の考え方は以下の7点です。

・設置している太陽光パネルの容量から考える
・毎月の電気代から考える、または太陽光パネルを設置していない場合
・設置場所から考える(屋外の場合)
・設置場所から考える(屋内の場合)
・停電時に使用したい容量から考える
・変換ロスを防ぎ効率よく電気を使うことを考える
・費用面から考える

ここではそれぞれを詳しく解説します。蓄電池を選ぶ時はこれらのポイントを組み合わせて検討するのもおすすめです。また蓄電池販売業者によっては家庭や目的に合わせてシミュレーションを作成してくれるところもあるので相談してみましょう。

設置している太陽光パネルの容量から考える

例えば「6.0kwの太陽光パネルを設置している」とします。日照条件など環境によって多少変動するものの、太陽光パネルが1日に発電できる量はパネルの容量に3(発電時間)をかけた数字となります。そのためこの場合は太陽光パネルが1日に発電している電気量は18kWhと算出できます。発電した電気の使用量はだいたい30%とされており、残りは売電している形になります。このことから5.4kWhは家で自家消費し、残りの約12kWhを売電していることが分かります。

つまりこの場合12kWhの蓄電池が適した容量ということになりますが、ここで注意が必要。12kWhジャストの容量の蓄電池では数年後経年劣化により蓄電容量が12kWh以下となるため、十分に蓄電できません。そのため少なくとも、必要な容量プラス1kWh以上の蓄電池の導入を検討しましょう。

毎月の電気代から考える、または太陽光パネルを設置していない場合

1日の電気代を蓄電池でまかないたい場合や、太陽光パネルを設置していない人は電気使用量から必要容量を選ぶ必要があります。蓄電容量と出力を決めるには家庭の電気使用量にマッチしているかどうかの確認が大切。そのため過去1年間の月別・時間帯別の電気使用量をチェックして計算しましょう。目安は「朝晩(深夜除く)+昼間の使用量÷日数」で把握できます。

例えば朝晩120kWh、昼間30kWhの使用なら150÷31=4.8となり、だいたい5kWh前後の蓄電池が最適ということになります。ただしこの方法は従量電灯Bなど電力使用量ごとに料金が上がっていくプランの場合、電気代削減という意味では役に立ちません。

設置場所から考える(屋外の場合)

「家庭用蓄電池のデメリットは?」で触れたように、家庭用蓄電池は屋外用ならエコキュートの貯水タンクほどの大きさがあります。設置場所は取りますが、十分な設置スペースが確保できるなら容量が大きい「系統連系型(定置型・据え置き型)」がおすすめ。容量が大きい分さまざまな家電の非常電源として役立ちます。屋外に系統連系型蓄電池を設置する場合、故障を避けるために以下の場所は避けましょう。

・直射日光があたる
・激しい雨があたる
・高温多湿
・雪やホコリがつもる
・倒れる危険がある

またこれらの設置場所を避けることに加え、ほとんどの蓄電池が重塩害地域(海岸や汽水域から500m以内)やマイナス10度以下になる寒冷地には対応していません。そのため重塩害地域に住んでいる人はニチコン「ESS-U3S1J」やオムロン「KP55S」、スマートソーラー「SBT3-12B」など、また寒冷地に住んでいる人はマイナス20度まで動作保証している住友電気工業「POWERDEPO H」やテスラの「Powerwall」、ニチコンの「ハイブリッド蓄電システムH2L1」など、環境に適したモデルを選ぶようにしましょう。

設置場所から考える(屋内の場合)

屋内に設置するなら小型の移動式(ポータブル型)蓄電池が最適。特別な工事が必要ないので賃貸に住んでいる人でも設置できます。しかし小型とは言えエアコンの室外機程度の大きさがあり、さらにコンセントで充電するため設置場所によっては生活していく上でストレスになる可能性があります。

また定置型に比べて蓄電容量が少ないため部屋中の家電を1台でまかなうのは難しく、特にエアコンには使えない場合がほとんど。そのため災害対策として最低限の電力を確保したいと考える人におすすめです。

停電時に使用したい容量から考える

家庭用蓄電池の仕様は特定負荷型もしくは全負荷型に分けられます。特定負荷型はあらかじめ選んだ回路にだけつなぐので、最低限の電気を長時間利用したいという人におすすめ。加えて全負荷型よりも低価格で設置できるのもメリットです。特定負荷型がおすすめなのは一人暮らしや二人など家族が少人数の場合、導入費用を抑えたい場合、ガスを併用している場合などです。

対して全負荷型は停電時にすべての部屋で電気が使えるため、普段と変わらない生活ができるのが大きな強みですが、設置費用は特定負荷型よりも高め。また思ったより電力の消費が早いことがあるので注意が必要です。全負荷型が向いているのはオール電化や二世帯住宅、小さな子どもや高齢者がいる家庭などです。

変換ロスを防ぎ効率よく電気を使うことを考える

災害発生時の利便性を考えるならハイブリッド型の蓄電池が最適。太陽光発電パネルと蓄電池のパワーコンディショナー(以下パワコンと表記)を1台にまとめることで太陽光発電で生み出された電力をそのまま蓄電池にためることができ、2台のパワコンを経由することによる変換ロスを抑えることができます。変換効率が95~97%と高いモデルもあるので、発電した電気を無駄なく使いたい場合はハイブリッド型の蓄電池を検討しましょう。設置費用はかかるものの、停電時に電気を使いながら蓄電することも可能。そのためいざという時でも快適に過ごしたいという人におすすめです。

費用面から考える

蓄電池の導入費用をできるだけ安く抑えたいと考える人には単機能型蓄電池が向いています。太陽光パネルのパワコンはそのままで設置ができるので、その分設置費用が安く抑えられます。さらに単機能型の蓄電池なら太陽光発電パネルを設置していない家庭でも導入可能。また単機能型の場合太陽光パネルと蓄電池のメーカーが違っても使用できるため、今後太陽光発電パネル設置を検討しているという人にもおすすめです。ただし「パワコンの変換ロスが多い」「停電時の出力が低い」といったデメリットがあるので注意しましょう。

家庭用蓄電池のかしこい選び方は?

家庭用蓄電池は効率よく活用するためにも家族のライフスタイルに合わせて選ぶことが重要です。ここでは家庭用蓄電池のかしこい選び方として押さえておきたいポイントをまとめましたので紹介します。

・停電時の利便性は特定負荷型・単機能型よりも全負荷型・ハイブリッド型の方が高い
・決める時は2~3社から相見積もりを取って価格相場を把握し、1社の提案では即決しない
・蓄電容量は太陽光パネルの容量から試算し、経年劣化を考え+1kWhの容量を選ぶ
・サイクル数が非公開の場合は保証期間+5年を目安とする

ただし停電時の利便性は確かに全負荷型・ハイブリッド型が高いのですが、設置場所や目的によっては特定負荷型・単機能型が適していることもあります。自分たちの生活や設置の目的を考え、流されずに選びましょう。

また蓄電池設置業者の中には高額なところもあります。そのため必ず2~3社程度から相見積もりを取って価格相場を把握することが大切。1社の提案で即決せず、いろいろ見てみることをおすすめします。

次の章では家庭用蓄電池のおすすめメーカーを紹介しますので、合わせて参考にしてください。

家庭用蓄電池の主なメーカー6種類を紹介

ここでは国の補助金「DER等導入事業(C事業)」や各自治体の補助金・助成金対象となりやすい「SII(環境共創イニシアチブ)」登録製品の中から主なメーカーを5種類と、最近注目されているテスラ製品を1種類紹介します。紹介するのは以下のメーカーのモデルです。

・nichicon(ニチコン)「トライブリッド蓄電システム」ESS-T3M1
・SHARP(シャープ)「クラウド蓄電池システム」JH-WBPDB650
・京セラ「エネレッツァ」EGS-LM0500
・Panasonic(パナソニック)「[住宅用]創蓄連携システムS+」PLJ-RC41063A
・オムロン ソーシアルソリューションズ「マルチ蓄電プラットフォーム」KPBP-A-PKG-MM3
・Tesla(テスラ)「Powerwall」

ここではそれぞれの特徴や蓄電容量、蓄電ユニットなどのサイズを表にまとめました。比較検討の際にお役立てください。

nichicon(ニチコン)「トライブリッド蓄電システム」ESS-T3M1

ニチコンは世界トップレベルの家庭用蓄電池のメーカーです。単機能型からハイブリッド型、EV(電気自動車)の充電も可能なトライブリッド型などさまざまなタイプを用意しており、蓄電容量も2~16.6kWhと幅広く展開しています。

ここではニチコンのおすすめ蓄電池「トライブリッド蓄電システム」ESS-T3M1についてまとめました。

特徴 太陽光発電やEVも1台でOK
組み合わせパターンが豊富
後から増設・追加可能
蓄電容量 7.4kWh
蓄電ユニットのサイズ 幅54cm×高さ41.8cm×奥行23cm
蓄電ユニットの容量 約61kg
メーカー保証期間 15年
設置可能場所 屋内・屋外ともに対応(パワコンは屋外)

SHARP(シャープ)「クラウド蓄電池システム」JH-WBPDB650

スリムで使いやすい家電を多く扱っているシャープ。IoTへの強みが特徴で、AIが搭載された冷蔵庫や電気調理器など人気商品が多数出ています。また同社ならでは発想で実現したコンパクトサイズも特徴です。
ここではシャープのおすすめ蓄電池「クラウド蓄電池システム」JH-WBPDB650の特徴やサイズ、蓄電容量などを紹介します。

特徴 「家中まるごと停電対応」で非常時でも各部屋で電気が使える
スタイリッシュなスリム型
増設可能
蓄電容量 6.5kWh
蓄電ユニットのサイズ 幅56cm×高さ32cm×奥行57.5cm
蓄電ユニットの容量 約74kg
メーカー保証期間 10年(有償で15年まで延長可能)
設置可能場所 屋内・屋外ともに対応

京セラ「エネレッツァ」EGS-LM0500

京セラは太陽光発電パネルの実績が豊富です。そのため自社の太陽光パネルと相性のよい蓄電池の提案が可能。また製品も屋内・屋外対応型や小型蓄電池などバラエティーに富んでいます。

ここでは京セラのおすすめ蓄電池「エネレッツァ」EGS-LM0500を取り上げます。

特徴 国内生産で安心
世界初のクレイ型蓄電池内蔵で長寿命化を実現
蓄電容量 5.0kWh
蓄電ユニットのサイズ 幅48.5cm×高さ56.2cm×奥行28cm
蓄電ユニットの容量 約64kg
メーカー保証期間 15年
設置可能場所 屋内・屋外ともに対応

Panasonic(パナソニック)「[住宅用]創蓄連携システムS+」PLJ-RC41063A

さまざまな住宅設備や家電製品を手掛けてきたパナソニック。多くの技術とノウハウを生かした同社の蓄電池は太陽光発電システムと蓄電池を連携させ、より効率的に電気を活用できる「創蓄連携システム」タイプを始め、豊富なラインアップが魅力です。省エネを重視したい人はパナソニック製品を検討してみてはいかがでしょう。

ここではパナソニックのおすすめ蓄電池「[住宅用]創蓄連携システムS+」PLJ-RC41063Aの特徴や蓄電容量、保証期間などの情報をまとめました。

特徴 同社HEMS「AiSEG2」の連携で気象警報連動による停電対策が可能
組み合わせパターンが豊富
後から増設・追加可能
蓄電容量 6.3kWh
蓄電ユニットのサイズ 幅64.9cm×高さ64.6cm×奥行33.3cm(突起部含まず)
蓄電ユニットの容量 約85kg
メーカー保証期間 15年
設置可能場所 屋外に対応

オムロン ソーシアルソリューションズ「マルチ蓄電プラットフォーム」KPBP-A-PKG-MM3

オムロン社は太陽光発電システムのパワコンで知られており、エネルギーをより効率的に活用するために欠かせない蓄電システムの提供も行っています。オムロンの蓄電池ではライフスタイルに合わせてシステムや容量を柔軟に組み合わせることができる「マルチ蓄電プラットフォーム」シリーズが人気。スリムサイズなので置き場所に困っている人にもおすすめです。

ここではオムロン ソーシアルソリューションズの「マルチ蓄電プラットフォーム」KPBP-A-PKG-MM3を取り上げます。

特徴 既設の太陽光パネルへの後付けが容易
交換や新規導入など目的に柔軟に対応できる
蓄電容量 6.5kWh
蓄電ユニットのサイズ 幅49cm×高さ84.7cm×奥行14.7cm
蓄電ユニットの容量 約150kg
メーカー保証期間 15年
設置可能場所 屋内・屋外ともに対応(パワコンは屋外)

Tesla(テスラ)「Powerwall」

「SII(環境共創イニシアチブ)」登録製品ではないので補助対象ではありませんが、テスラの製品は13.5kWhと大容量ながらも国内産よりリーズナブルで、かつデザイン性が高いことから関心を持っている人が多くいます。またテスラ製品は認定施工会社のみが工事を許可されているので、安心してまかせられるのもメリットです。

ここではこれからの普及が期待されるテスラ製品の「Powerwall」を紹介します。

特徴 「まるごとバックアップ」で災害時でも各部屋で電気が使える
専用アプリで遠隔操作や電気消費量のモニタリングが可能
蓄電容量 13.5kWh
蓄電ユニットのサイズ 幅75.3cm×高さ115cm×奥行14.7cm(蓄電池ユニット内にパワコン内蔵)
蓄電ユニットの容量 約114kg
メーカー保証期間 10年
設置可能場所 屋内・屋外ともに対応

蓄電池はいつ導入するべき?

では蓄電池の導入時期はいつがベストでしょうか?節電による経済メリットだけで言えば、導入は早ければ早いほど生涯における経済メリットは大きくなります。しかしパソコンやスマートフォンでもそうですが製品は常に技術の進化が進んでおり、他より先駆けて購入するよりも後発品の方が安く性能が高いことが多いのも事実です。

結論から言うと蓄電池に関しては早めに購入する方がおすすめです。理由は以下の2点。

・補助金が減少傾向にある
・リチウムイオンの需要増加による価格上昇

ここではそれぞれを説明しますので、いつ導入するべきか悩んでいる人は参考にしてください。

補助金が減少傾向にある

国にしろ自治体にしろ補助金の本来の目的は蓄電池の普及促進なので、普及が進むと補助金の予算は徐々に削減されていきます。実際近年の蓄電池の普及により補助金は年々減少傾向にあり、高額補助金が支給される今のうちに設置する方がお得です。

またいくら蓄電池の技術が進み製造コストが安くなっても主な原料であるリチウムイオンが安くならない限り、製品は安くなりません。しかしリチウムイオンは現在需要が増え争奪戦のような展開になっており、そのため「そのうち安くなるだろう」と待っていても今のところその可能性は低いです。それなら高額補助金が公募されているうちに設置している方がかしこい選択だと言えます。

リチウムイオンの需要増加による価格上昇

前述したように、家庭用蓄電池の普及により原料となるリチウムイオンの需要が増加しています。さらにリチウムイオンは現代社会には欠かせないスマートフォンやパソコンの他、環境のため世界的に普及が推進されている電気自動車(EV)のバッテリーにも使用されており、その需要が飛躍的に高まっています。

需要が高まると価格も比例して上がっていくので家庭用蓄電池の価格が下がる見込みは低く、下手をすればリチウムイオン不足による価格の高騰も考えられます。そのため国や自治体から補助金が受け取れる今がベストな設置時期だと言えます。

蓄電池はかしこく選んでかしこく活用しよう!

SDGsの重要性が叫ばれる昨今、太陽光発電など再生可能なエネルギーの普及はこれからの地球にとって大切なことです。そして太陽光発電で生み出された電気を無駄なく活用するためには蓄電池の設置が最適です。家庭用蓄電池については国や各自治体がさまざまな補助金制度を用意しているのでうまく利用してかしこく設置しましょう。

またいくら高性能な蓄電池を購入しても家族構成やライフスタイルにあっていないと意味がありません。電気代や設置場所、費用面などさまざまな方向から検討し、家族にぴったりな蓄電池を設置してエコライフを始めましょう。

蓄電池があれば停電時などの非常時も怖くありません。ぜひこの記事を参考に蓄電池導入を検討してみてください。

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