任意整理の返済が苦しくなった場合に再度の和解（再和解）はできる？注意点を解説

この記事では、以前任意整理をしたけれど、「やむを得ない事情で収入が減ってしまい支払いが難しくなった」「病気になってしまって働けなくなった」などという状況の方に向けて、任意整理の再和解は可能なのか、成立しやすいケースや再和解する前に知っておきたい注意点についてお伝えしていきます。
任意整理で減額した債務は当然返済しなければなりませんが、何らかの事情で、どうしても継続して返済ができない状況になることもあります。
最後まで読めば、今後の流れについて把握し、どのように対処すればよいかを冷静に判断できるようになるでしょう。

「任意整理の再和解」とは

任意整理とは、借金の支払いを続けることが厳しいときに利息をカット、減らすことなどを債権者と交渉し、お互いが納得した条件で完済に向けて支払うように取り決めることです。
任意整理の再和解とは、任意整理後に支払いが厳しくなり、再び返済内容の条件を見直してもらうように交渉し、再度任意整理に応じてもらうことをいいます。

再和解は一度目の任意整理と同じで、以下の手順で進めます。

1)弁護士から、再和解の代理人であることを債権者に通知してもらう（受任通知）
2)金利内容の見直しや和解案などを提案して交渉する
3)互いに合意すれば合意書を作成し、支払いを開始する

交渉に漕ぎ着けたとしても、必ずしも再和解が成立するわけではありません。

任意整理の再和解が成立しやすいケース

「再和解の交渉をしたいけど、自分は失敗するかもしれない」と不安に思う方がいるのではないでしょうか。
任意整理の再和解が成立しやすいケースを3つご紹介します。
これから紹介するケースに当てはまらなくても成立することがあるため、自分の状況を弁護士に相談してみましょう。

納得できる事情があって支払いが難しくなった場合

一度目の任意整理では確実に支払いのめどが立っていたが、会社が倒産して解雇されたり、病気を患ってしまい働けなくなったりした場合などに支払いが難しくなることがあります。
避けられない、予想もしなかった突然の事態が起こってしまった場合は、任意整理の再和解が成立しやすくなります。

今後確実に支払いできると債権者が判断できる場合

今は返済することが難しいが、今後確実に返済できることを債権者に証明できる場合は、任意整理の再和解が成立しやすいケースに当てはまります。
就職活動をしている場合は、確実に就職できて収入が得られるとは決まっていないため、証明できる材料にはなりません。
転職することが決まっていて、今後確実に支払いができる、親族の協力があり資金を集められたなど、確実に決まっていることを債権者に伝えましょう。

これまでの返済で、滞納をすることがなかった場合

これまで滞納することなく返済を続けてこられたでしょうか。
債権者と信頼関係を築いておくことは、任意整理の再和解を成立させるためにとても大切です。
再和解をしても支払いがなかったとき、債権者にとってリスクが生じます。
交渉するためには、滞りなく支払いをしてきた、必要な場合はきちんと連絡を取り合えていたなどの信用を与えておかなければなりません。

任意整理の再和解を成立させる前に知っておきたい注意点

任意整理の再和解は、お互いの合意のもとに成立します。
すべての条件を債権者が受け入れてくれるわけではなく、「自分が思っていたものと違った」と感じる方も少なくありません。
後でがっかりしないように、事前に知っておいてほしい注意点について3つお伝えします。

遅延損害金を支払わなければならないことがある

任意整理後に期日通りの支払いができなくなると債権者に損害が出るため、損害賠償としての費用を借金に加えて支払う必要が出てきます。
再和解が成立したとしても、結果的に元の借金残高よりも多く支払わなければならなくなったというケースは少なくありません。
遅延損害金を要求するかは債権者によって異なるため、どうしても借金しか払えないという場合は、任意整理の再和解以外の方法を考えた方がよいでしょう。

条件がさらに厳しくなることがある

支払いが難しくなって滞納してしまった場合、「支払いが遅れた分の損害賠償として遅延損害金の支払いを要求する」「1度目の任意整理で決めた返済期日は変更しない」「今後1月でも支払いが遅れたら、翌月借金の残高を全額請求する」などを要求されることがあります。
1回目の返済期日までに遅延損害金を上乗せして請求され、さらに支払いが苦しくなってしまうケースも起こりかねないことを念頭に置きましょう。

どんな事情であれ、再和解に応じてくれないことがある

債権者は、必ずしも再和解に応じる必要はありません。
「滞納せずに支払いを続けてきた」「やむを得ない事情で支払えない」など成立しやすいケースに当てはまっていたとしても、合意するかは債権者の裁量にゆだねられています。

再和解に応じてくれない場合は、違う方法を考えなければなりません。

再和解以外で返済を軽減させる方法

確実に交渉が成功しても、支払いが楽になるわけではないのが任意整理の再和解です。
「任意整理の再和解をすると、さらに生活がままならなくなる」という方は、別の方法を検討した方がよいでしょう。
再和解以外にどのような対策があるのかについてお伝えします。

個人再生をする

個人再生とは、借金の返済が難しくなった時に、裁判所に申請して借金の返済額を減らしてもらうシステムです。
債権者の意見を聞きながら、支払金額や期限などの決定を裁判所が下します。
個人再生も任意整理同様、支払い期間中も住宅ローンの支払いを続けながら家を手放さずに済む場合もあり、ローンの支払いが終わっている車であれば所有することを認められています。
ただし、失業している人や、安定した収入が見込めない人など支払い能力があると認められない場合は申請できません。

自己破産をする

自己破産とは、裁判所に申請して借金の返済を帳消しにしてもらうシステムです。
借金の返済額を減額したとしても、返済できる余裕がない場合にこの手続きを行います。
自己破産をすれば、借金の返済を免除してもらえるため、収入のすべてを生活費に充てられます。
デメリットは、家電や家具など生活に必要な物は対象外ですが、高価な財産を処分しなければならないこと、就職できる職業に制限をかけられることです。

まとめ

任意整理の再和解はすべてのケースで成立するわけではないこと、成立したとしても厳しい条件を提示されてしまうことをご紹介しました。
債務整理は任意整理を含めて3つの種類があるため、自分にとってどの選択肢がよいのかを一人で決定することはなかなか難しいといえるでしょう。
弁護士や司法書士などのプロに相談して、生活に困難が生じないようなアドバイスをもらうことをおすすめします。

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