鳩のフンに潜むクリプトコッカス症知らないと怖いその正体｜症状や注意ポイントを解説

鳩は、一般的には愛くるしい街のマスコット的な存在として認識されていますが、人家に住み着くと大量のフンや騒音など色々な被害の要因となる「害鳥」としても知られています。特に、鳩のフンによる衛生被害は想像以上に深刻で、同じ鳥類のみならず人間も罹患する様々な病気の原因となってしまいます。鳩のフンは悪臭もしますし単純に不潔でもありますが、あらかじめ知っておかないと恐ろしい病気にかかってしまうリスクもあるのです。今回は、鳩のフンに潜む代表的な病気である「クリプトコッカス症」について、知っておくべきその正体を詳しく紐解いていきながら、症状の詳細や注意すべきポイントを解説していきます。

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クリプトコッカス症とは？

クリプトコッカス症は、ヒトだけでなくネコなどのペットも感染するいわゆる「人獣共通感染症」の一種として知られており、鳩のフンを媒介にして感染します。クリプトコッカス症は、健康なヒトであれば特に何も症状は発生しませんが、免疫不全の状態にあるヒトが感染すると重症化のリスクがあるため、決して油断できない病気です。

クリプトコッカス症とは

クリプトコッカス症は、鳩のフンが原因となって増殖する「クリプトコッカス真菌」と呼ばれる土壌のカビの一種が引き起こす感染症です。このクリプトコッカスに感染する動物は何種類かいますが、経口感染によりヒトにも感染します。特に免疫力の低い人に感染すると重症化のリスクもあり、危険です。

クリプトコッカス症は「人獣共通感染症」の一種

クリプトコッカス症は、人獣共通感染症の一種で、ヒトのほかにも何種類かの動物が感染します。ペットとして人気のネコや、動物園のコアラなどに多く感染例があり、コアラに関しては死亡例も報告されています。ヒトに対しては通常であれば大した症状は起きませんが、免疫力が低いと重症化するリスクもあります。なお、鳩はクリプトコッカス症の媒介者ではありますが、感染することはありません。

クリプトコッカス症のヒトへの感染状況

クリプトコッカス症のヒトへの感染は、詳細は後述しますが基本的には鳩のフンによる感染です。代表的なヒトへの感染事例としては、日本人も多く滞在するカナダのバンクーバーで2002年より3年間にわたって52名の感染者が確認され、2002年の感染者1名は呼吸不全で死亡するといった例が報告されています。アメリカでのクリプトコッカス症感染者の85％がHIVの患者から発生するなど、免疫不全者の感染が特に顕著です。

クリプトコッカス症の症状

クリプトコッカス症の症状は、軽症であればインフルエンザとよく似ています。たとえば、発熱・頭痛・全身の倦怠感や疲労感・食欲不振といった症状です。しかし、感染部位や免疫力によって他にも様々な症状が出ることがあり、動物への感染時に顕著に発生する症状もあります。ここでは、クリプトコッカス症の症状について詳しく解説します。

ヒトの肺へ感染すると胸痛や発熱を引き起こす

まず、健康なヒトの場合では、あまり特異な症状は出ず、全身の倦怠感や食欲不振、発熱・頭痛など風邪に似た症状が出ます。しかし、特別な部位に感染が及ぶと顕著な症状が出ることが知られていて、たとえば肺に感染すると、胸の痛みや高熱といった肺炎に近い症状も出てきます。

免疫不全の状態では更に他の部位へ症状が広がる

HIV患者や妊婦、基礎疾患を持っている方・高齢の方など免疫力の低い人では、頭痛や発熱といった非特異的な全身症状にとどまらず、他の部位へと感染が広がるにつれて、様々なお特異的な症状が出てきます。特に肺や脳など特定の部位に対して感染が広がりやすく、特に脳や脳髄に感染が及ぶと、脳神経麻痺や意識障害の他、永続的な神経障害といった重い症状に発展する恐れもあります。

ペット等へ感染すると皮膚症状が起こる

クリプトコッカス症は人獣共通感染症なので、ヒトだけでなくペットなど動物も感染します。クリプトコッカス症に感染する動物としては特にネコが良く知られていて、ネコに感染する場合は特に皮膚状態に顕著に症状が現れる傾向にありますが、肺への感染から全身の皮膚へ症状が伝播していると考えられています。

クリプトコッカス症の原因

クリプトコッカス症は、鳩のフンを媒介とし、ヒトの場合は経口による経路で感染することが知られています。人獣共通感染症ではありますが、クリプトコッカス症に感染した他の動物からヒトに感染、また逆に感染したヒトから他の動物へ感染する可能性は低いと言われており、不思議な病気です。クリプトコッカス症の原因は何なのでしょうか。

クリプトコッカス真菌というカビの一種が原因

クリプトコッカス症の原因となるのは、「クリプトコッカス真菌」と呼ばれる、土壌に含まれるカビの一種です。基本的には免疫力や体力が低下している場合に感染しやすい病気ではあるものの、稀に免疫力に問題がない場合でも感染することがあります。国内でのクリプトコッカス症患者の発生状況は、10万人あたり年間0.2～0.9人ほどです。

鳩のフンから感染することが多い

クリプトコッカス症は、鳩のフンが媒介する病気です。乾燥した鳩のフンが空気中に舞い上がり、それを吸い込むことでヒトに経口感染します。鳩の糞便にはクレアチニンというクリプトコッカス真菌の繁殖に必須な栄養素が入っているので、クリプトコッカス真菌の温床となっているのです。

動物からヒトへ直接感染することはない

クリプトコッカス症は人獣共通感染症ではありますが、クリプトコッカス症に感染した動物からヒトへ直接感染することはなく、またその逆に、クリプトコッカス症に感染したヒトから動物へ直接感染することもありません。あくまでも媒介するのは鳩のフンであるということです。ちなみに、鳩自体は体温が高いため、クリプトコッカス症には感染しません。

クリプトコッカス症の予防・治療の方法

クリプトコッカス症は鳩のフンを吸い込むことで感染します。鳩のフンに触れる機会はないと思うかもしれませんが、別の感染症の事例で、屋内の換気扇のダクト内に鳩のフンがたまっており、換気扇を通して部屋に菌が流入し集団感染を起こした事例もあり、無自覚に感染する危険性もあるのが鳩のフンの怖い所です。クリプトコッカス症は、どのように予防すればいいのでしょうか。

基本的な予防策は鳩のフンをこまめに掃除すること

まず基本的な予防策は、仕事場や自宅などで鳩のフンがされていないかを慎重に確認し、もし鳩のフンがあるようであれば、できる限り早急に、理想を言えば乾燥する前に掃除してしまうことです。鳩はフンをする場所に執着する生き物なので、フンがいつまでも残っていると鳩がねぐらにしてしまいもっとフンが増える危険性があります。フンは放置せずこまめに掃除しましょう。

入院中・妊娠中など免疫力が低い場合は公園や寺院など鳩の多い場所を避ける

クリプトコッカス症は、免疫力が低い人に感染する病気です。免疫力が低下する病気といえばHIVを想像する方が多いかもしれませんが、HIVに限らず基礎疾患を持っている人や、病気で入院している人、妊娠中の人や高齢者なども免疫力が低下している状態であることが多く、そうした方も感染のリスクがあります。そうした方はなるべく鳩や鳩のフンの多い公園や寺院などには近寄らないようにしましょう。

治療方法は抗真菌剤の投与が一般的

気をつけていても、クリプトコッカス症に感染してしまうことはあります。万が一感染した場合には、病院での投薬治療を行いますが、具体的には「抗真菌剤」と呼ばれる薬を定期的に投与する治療が一般的です。しかし、この抗真菌剤は高価であるだけでなく、定期的に何度も投与しなければならず治療費がかかってしまいます。なるべく、予防を徹底し、感染しないようにするのが一番の理想となります。

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まとめ

以上、鳩のフンが媒介する感染症のひとつであるクリプトコッカス症の詳細な症状や原因、予防策において注意すべきポイントなどを詳細に解説しました。クリプトコッカス症は普通の人が感染してもあまり大事には至らない病気ではあるものの、何らかの事情で免疫力が落ちていると、普通の人でも感染する恐れがあります。重症化する病気でもあるので、できる限りかからないに越したことはありません。予防を徹底し、特に感染源の鳩のフンには注意するようにしましょう。

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