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■ヒッタイト人の歴史とハットゥッシャ
巨大な古代遺跡ハットゥシャを残したヒッタイト人は、紀元前時代、優れた製鉄技術を武器にアナトリア半島から中東におよぶ大帝国を築きました。
世界で最初に鉄器を使った民族
中央アジアから移住してきたヒッタイト人は、この辺りに暮らしていたハッティ人を支配して住み着き、ヒッタイト王国を建国。世界で初めて「鉄」を使った民族と言われています。他の民族が、まだ青銅器を使っていたこの時代に、いち早く製鉄技術を駆使して、軍馬に引かせる軽戦車や武器を作ることで強大な軍事力を持ち、大帝国へと発展していきます。この時期の日本は縄文時代であり、土器を使用していたことを考えると、ヒッタイト人は当時大分先の時代を進んでいたことがわかります。
ハットゥシャへ王城を建設
ヒッタイトの王がハットゥシャを首都とし、王城を築いたのは紀元前18世紀頃のことです。外敵から都市を護るために、ビュユックカレと呼ばれる全長6kmの大きな城壁を建設しました。城壁の内部にはかつて、神殿をはじめ、住居、学校、集会所等、様々な公的機関が存在していました。広大な範囲にひろがる遺跡は、現在も当時の王国の繁栄を物語っています。
アナトリア半島を東から西まで支配する大帝国に
紀元前16世紀には、メソポタミア地方に遠征し、ハンムラビ法典で知られる古バビロニア帝国を滅ぼします。その後も次々の周辺国を制圧、紀元前13世紀にはさらに南方へと遠征し、古代エジプトとシリアのカデシュの戦いで衝突します。この戦いの後には、世界最古と言われる講和条約が結ばれ、20世紀初頭にこのハットゥシャ遺跡からその条文が書かれた粘土板が出土します。
上図の赤色の部分が、ヒッタイト帝国の勢力圏で、緑色の部分が古代エジプトの勢力圏です。現在のトルコがあるアナトリア半島を東から西まで支配し、そして南は現在のシリアやレバノンにいたるエリアまで、広範囲に及んだ巨大帝国だったことがわかります。300年程続いた王国は、紀元前12世紀頃に滅びます。滅亡の理由は、地中海の「海の民」によって滅ぼされた、内紛や食料難等によって衰退した、等諸説挙げられています。
■ハットゥシャまでのアクセス
ハットゥシャ遺跡は、トルコ中央部の小さなボアズカレ(Bogazkale)村にあります。トルコの主要都市からボアズカレ村への交通の便は悪く、25km程離れた、スングルル(Sungurlu)という村からバスに乗ってアクセスする手段が一般的です。 自力でボアズカレまで辿り着くにはかなり難易度が高いため、ツアー等で行くのがおすすめです。
各都市からスングルルまで
アンカラから
所要時間 バスで3時間程度 / 料金 25〜33TL程度
チョルムから
所要時間 バスで3時間程度 / 料金 8TL程度
スングルルからボアズカレまで
タクシー移動
所要時間 20〜30分程度 / 料金 40〜50TL程度 ※ドライバーとの交渉にて決定
法外な料金を要求してくるタクシードライバーもいるようで、交渉が必要です。
バス移動
料金 5TL程度
スングルル村の中心にあるバス停からドルムシュと呼ばれるミニバスが出発します。ドルムシュは満員になり次第出発する交通手段なので、人が来なければ長時間待たなくてはならないこともあり、タクシー同様20〜30分で到着できることもありますが、時間を読めないのが難点です。バスはボアズカレの村の中心にある広場に到着します。
ボアズカレからハットゥシャ遺跡の入口までは、徒歩で10分程度です。
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■ハットゥシャ遺跡の見どころ
ハットゥシャの遺跡群は、標高1000mの丘陵地帯に広がっています。アナトリア高原の広大な土地に、大神殿の跡を始めとし、ライオン門やスフィンクス門、ヤズルカヤ遺跡等が存在しています。20世紀にドイツの考古学者フーゴー・ウィンクラーがこの遺跡を発見し、その後の発掘作業で、大城塞から2万枚もの楔形文字が刻まれた粘土板が発掘され、様々なヒッタイト王国の重要な歴史が明らかになりました。
遺跡の入口から中に入ると、まずその遺跡の広さ、大きさに圧倒されます。巨大な石垣、トンネル、城壁等、どれも優れた技術がないと建設することができない建造物ばかりで、当時のヒッタイト王国の繁栄が感じられます。
大神殿跡
大神殿跡ハットゥシャ最大の遺跡である大神殿跡です。現在も発掘作業が継続されており、礎石しか見ることはできませんが、かつては日干しレンガで造られた壮大な建物で、200を超える部屋で神殿が囲まれていたと言われています。この神殿は紀元前13世紀に建てられたのものであり、天候神「テシュプ」、配偶神「へパト」が祀られていました。
200の部屋の中には、大量の食料を保管する貯蔵庫として使われていたものもあり、現在は上の写真のように貯蔵庫が一部復元されたものを見学できます。
ライオンの門
大きく口を開け、睨みをきかせたライオンが刻まれた門柱が左右に設置されている「ライオンの門」は、悪霊が城内に侵入しないように造られたと言われています。
スフィンクスの門
「スフィンクスの門 」はハットゥシャで一番標高の高い場所に位置しています。頭部は人間、身体はライオンのスフィンクスは、古代エジプトに影響を受けて作られたものとされています。
地下トンネル
スフィンクスの門のすぐ下には、70mにもおよぶ地下トンネルの入り口があります。かつては、一般的には閉鎖されており、特別な使者が来た時にだけ通り抜けられたと言われています。トンネルを通り抜けると城壁の外に出ることができます。
ヤズルカヤ遺跡
ヤズルカヤ遺跡は、ハットゥシャの北約2kmのところにあるヒッタイト王国の聖地です。ハットゥシャから一本道でアクセスでき、道路にも標識が出ているので簡単にたどり着くことができます。
ヒッタイト帝国末期に、最後の王、シュピルリウマ2世が父親を祀るために建設されました。ヒッタイトには、千の神々を持つ国と言われており、自然の岩肌には様々なヒッタイトの神々や、神格化された王たちが描かれています。日差しが強くなると、掘られたレリーフが見づらくなるため、午前中に行くのがおすすめです。
地下遺跡で見られる12神のレリーフは必見です。
■アナトリアの歴史を知れるおすすめ博物館
ハットゥッシャ遺跡は、ヒッタイト王国滅亡後、外敵による攻撃等によって多くが破壊され、遺跡の多くが持ち去られてしまったと言われています。現状の遺跡を見るだけでは、当時のヒッタイト人の生活や街の姿を想像するのは難しいですが、事前に博物館に行くことで、より鮮やかに当時の様子や歴史を感じ取ることができます。ハットゥッシャの出土品も展示されている2つの美術館を紹介します。
ボアズカレ博物館
ボアズカレ村内にあるボアズカレ博物館には、ヤズルカヤやハットゥッシャに関する展示品、資料が収められています。規模はあまり大きくありませんが、20世紀初頭から続いている発掘作業の中で出土されたものが展示されています。
アナトリア文明博物館
首都アンカラ経由でヒッタイトに行くのであれば、アナトリア文明博物館はぜひ立ち寄って欲しい博物館です。アナトリア地方で出土した、旧石器時代からの展示品が数多く収蔵されています。ヒッタイトに関連する資料や展示品も、当時の生活や街について知ることができます。
■ボアズカレのホテル情報
ボアズカレには宿泊施設の数が限られているため、宿泊予定の場合は予め予約をするようにしましょう。
Hotel Baykal
Baskent Demiralan Hotelの近くに位置している、素敵な庭園が特徴的な、家族経営のこじんまりとしたホテルです。部屋も清潔でかわいらしく、快適です。オーナーは気さくな人で、遺跡のことを教えてくれます。価格が手頃なのも魅力的です。
ホテル バイカル
トルコ / その他の都市 - ホテル
- 4.4
- [ホテル詳細情報]
- チョルムボアズカレCarsi Mah. Cumhuriyet Meydani No. 22 [ホテル住所]
- チェックイン: 12:00 PM/チェックアウト: 11:00 AM/部屋数:
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