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アヤソフィアの歴史
紀元330年にローマ皇帝コンスタンティヌス1世によって征服され、皇帝の名前からその名が付けられた街コンスタンティノープル(現イスタンブール)。後にキリスト教国家・東ローマ帝国の首都となるこの街に360年に完成したのが、アヤソフィアの前身となるキリスト教聖堂でした。その後、天災や反乱などによって破壊された聖堂は、537年にユスティニアヌス1世によって再建され、以来、ほぼ当時のままの姿を現在まで保ち続けています。
総主教座として長きにわたりキリスト教世界に君臨したアヤソフィアでしたが、その転機は15世紀半ばにやってきます。1453年、オスマントルコによってコンスタンティノープルが陥落すると、イスタンブールと改称された街はイスラム教で埋め尽くされ、アヤソフィアはキリスト教聖堂からイスラム教モスクへ改造されていったのです。
オスマン帝国時代には君主が毎週の金曜礼拝で訪れ、帝国内で最も高い格式を持つモスクとなったアヤソフィアでしたが、20世紀前半にトルコ共和国が誕生すると、建物はモスクから博物館へと姿を変えられ、一つの宗教に縛られていたこれまでとは全く異なる道を歩み始めたのでした。
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スルタンも驚嘆した素晴らしい建築構造
コンスタンティノープルを陥落させたオスマン帝国軍は、3日間にわたって街のいたる所を略奪し、キリスト教聖堂アヤソフィアもその例外ではありませんでした。しかし、略奪後の街に入場したオスマン帝国スルタン・メフメット2世は、アヤソフィアの優れた建築技術と稀有な芸術に感銘を受け、聖堂を完全に破壊するのではなく、改修してモスクへ転用するように命じます。
スルタンさえも驚嘆させたアヤソフィアの特徴は、地上55メートル、直径33メートルの巨大な中央ドームを周囲の半円ドームが支える建築構造です。高い天蓋に覆われた広々とした内部空間は、宮殿のような威厳すら感じさせ、アヤソフィアは「ビザンツ(東ローマ帝国)建築の最高傑作」と現代においてもなお称えられています。
アヤソフィアの建築構造は、オスマン帝国の建築家たちにも多大な影響を与えました。
スレイマニエ・モスクやスルタンアフメット ジャーミィ(ブルーモスク)など、イスタンブールに今も残るオスマン帝国時代の建造物をよく見てみてください。巨大なドームを持つアヤソフィア建築の影響が見てとれるはずです。
モスクへの転用
その建築技術の高さから、オスマン帝国下においても重要視されたアヤソフィアですが、帝国時代にモスクへと改造された名残は、今でもあちこちに見られます。
まず、外観から見てみると、建物の周囲には、1日5回の礼拝の時間を呼びかけるミナレット(尖塔)が4本建てられていることがわかります。
また、内部には、イスラム教最大の聖地メッカの方向を指し示す壁の窪み状の設備ミフラーブやミンバル(説教壇)が取り付けられました。
さらに、建物内部に入るとすぐさま目につく丸い円盤状の装飾には、「唯一神アッラー」や「預言者ムハンマド」を表すアラビア文字が装飾化されて描かれています。
キリスト教聖堂時代の痕跡
しかし、建物内部を見回すと、同時に目につくのが、正面上部の半ドームに描かれた聖母子像、すなわちイエス・キリストと聖母マリアの像です。イスラム教のモスクに描かれたキリスト教のモチーフ。この不思議な取り合わせは、いったい何を意味しているのでしょうか。
その謎の手がかりは、15世紀のモスクへの改修時にありました。
見事な建築物であるアヤソフィアの破壊を望まなかったメフメット2世でしたが、偶像崇拝を禁じるイスラム教国家の君主である彼は、アヤソフィア内部の壁面に描かれたイエスやキリスト教の聖人たちの像をそのままにしておくことはできませんでした。アフメット2世はキリスト教の絵画やモザイク画を漆喰で覆い隠し、人々の目に触れることがないように命じたのです。
しかし、20世紀に入って博物館となったアヤソフィアで修復作業が進められると、漆喰の下から黄金に輝くビザンティン時代のモザイク画が次々と発見され、これによって、アヤソフィアがかつてキリスト教聖堂だった事実が改めて強く浮かび上がってきたのでした。
古代より親しまれていたモザイク技法はビザンティン時代に最盛期を迎え、この時代に作成された華やかな色ガラスや金をふんだんに使ったモザイク画は、ビザンティン美術の最高峰に位置付けられています。
アヤソフィアの中でも、2階柱廊ギャラリーの壁に掛けられた「ディーシス(嘆願)」と呼ばれるモザイク画は、ビザンティン時代のモザイク芸術の最高傑作のひとつに数えられており、必見の名作です。
滅亡と破壊の中で失われたはずのビザンティン時代のモザイク画に、イスラム教モスクの中で出会える不思議な巡り合わせは、街がキリスト教とイスラムの間で揺れ動き、「コンスタンティノープル」から「イスタンブール」へ名称が変わった激動の歴史そのものと、優れた芸術に対して抱く敬意の思いは宗教の枠を超えて普遍であることを表しているかのようです。
イスタンブールに行ったら、何をおいてもまず必見のアヤソフィア博物館。ぜひ足を運んで自分の目でその素晴らしさを体感してきてください。
アヤソフィア博物館
トルコ / イスタンブール
- Ayasofya Square, Sultanahmet, Istanbul, Turkey
- +90 212 522 17 50
- 9:00~17:00、最終入場は16:00、ただし2階のギャラリーへの最終入場は16:15(冬期)
- 月曜日
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