【伝統芸能】俳句入門！歴史や現在を徹底解説します

わずか17音の芸術として世界的にも注目を集めている俳句。非常に限られた語彙数で一つの物語をつづる俳句は、日本語だからこそ可能な芸能であるといえます。しかし昨今では、外国語で俳句が詠まれることもあります。この場合、日本語のように「五七五」で詠むことは難しいため、韻律とは関係なく3行詩であれば俳句と呼ばれるそうです。
時を越え、現代の私たちにとっても身近に楽しむことのできる芸能、俳句。たった17音で人々を惹きつける魅力とは、いったい何なのでしょうか。今回は、そんなインターナショナルな日本の伝統芸能である俳句について、基本的な情報から歴史、現在活躍している俳人や初心者におすすめの参考書籍などを総合的にご紹介したいと思います。

俳句とは？意外に知らない基本情報を見てみよう！

俳句（はいく）は世界で最も短い詩といわれており、季節の事柄や風景、その時に感じたことが「五七五」の17音で表現される定型詩です。
もともと「俳句」という言葉は「俳諧の句」という意味で江戸時代前期から用いられていましたが、「五七五」の17音の短詩形の文学、すなわち今でいう「俳句」を指すようになったのは明治20年代以後のことだといわれています。
俳句は「五七五」の17音の定型に季節を表す言葉（季語）入れるといった決まりがありますが、このようなルールに囚われないで自由に詠んだ「自由律俳句」と呼ばれるものがありますが、一般的ではありません。

俳句を広めた人って？気になる「松尾芭蕉」について

江戸時代に流行した文芸、俳諧連歌（俳諧）から生まれた近代文芸が俳句であるとされています。室町時代に栄えた正統派連歌から分岐して、その遊戯性や庶民性を高めたものが俳諧連歌（俳諧）であり、17世紀に入って松尾芭蕉が芸術性を高め、単独で鑑賞に堪えられる自立性の高い発句を詠んだことが俳句の始まりだといわれています。松尾芭蕉の登場により、発句の独立性は次第に高まり、発句のみを鑑賞することが多く行われるようになりました。これが、松尾芭蕉が「俳句の祖」といわれる所以です。その影響を強く受けたのが、のちに続く与謝蕪村や小林一茶だといわれています。

いつからあったの？俳句の歴史をたどってみた！

「俳諧連歌（俳諧）」や「発句」が始まりだといわれている俳句。俳諧とは、クスッと笑えるような遊戯性の高い連歌で、主に余興として作られていたものです。一方の発句は、連歌の冒頭部分を指します。つまり、俳諧の一部が発句で、後の俳句に繋がったということになります。そして松尾芭蕉が江戸時代前期で始めた文芸的な発句こそが、俳句の源流とされているものです。松尾芭蕉によって芸術の域まで高められた俳句は、その後、与謝蕪村や小林一茶に受け継がれ、明治時代に入ると正岡子規によって俳句という呼び名が定着しました。

いま有名な「池田澄子」さんてどんな人？

ここでは、現代の俳人で有名な池田澄子さんについて、ご紹介します。平成元年に「第36回現代俳句協会賞」を受賞された池田澄子さんの俳句は、語りかけるような口語体が特徴です。口語をいきいきと使った作風はこれまでにないスタイルで、人々を惹きつける力があります。
池田澄子さんの代表的な作品に、命のいとおしさを詠んだものと思われる句があります。
じゃんけんで負けて螢に生まれたの
蛍を擬人化して、蛍を見ている人間に話しかけているスタイルが斬新です。蛍もそれを見ている人間も、この世に生を受けたものとして、一所懸命に生きていることを見事に表現している一句だといえます。

これであなたも俳句マスター！注目の俳句をご紹介

ここでは、「俳句の祖」といわれている松尾芭蕉の俳句で有名なものを一つご紹介したいと思います。
古池や蛙飛びこむ水の音
あまりにも有名な句で、知らない人の方が少ないかもしれませんね。
直訳すると、「古い池に蛙が跳びこんだ。その時に水音がした。」ということになります。しかし、なぜこの句がここまで有名になったのでしょうか。宇宙を詠むわけでもなく、不意をつく内容でもなく、誰もが気に留めない世界。すなわち、今まで見過ごしてきたような小さな世界を詠んだ句だからこそ、人々の記憶に残る一句になったと考えられています。

俳句はどこを見たら意味が分かりやすい？鑑賞のポイントをご紹介！

江戸時代より人々の間で親しまれてきた俳句は、私たち現代人にとっても身近な文芸の一つです。俳句は文字数が非常に限られていることから、人によって感じ方や解釈が異なってきます。ここでは、そんな俳句について、鑑賞のポイントをご紹介します。
俳句は日本人の季節感を17音で表現した世界一短い詩です。俳句では、重要な言葉以外は省略されますので、季語を中心に一字一句の意味や働きをとらえ、省略された言葉を補いつつ、情景をイメージします。ポイントとしては、季節特融の風物や気候をおさえると理解がしやすくなります。また、「切れ字」（「や」「かな」「けり」「ぞ」「か」）のある言葉に着目して、感動の中心をとらえると、主題がつかみやすくなります。

俳句を作る上で気を付けなければならない点は？俳句のルール・マナーについて

リズミカルで語感も楽しい俳句は、日本語の美しさが凝縮された短い詩です。俳句を作る上で気を付けなければならないルールは2つだけ。「五七五」の17音で詠むということと、句の中に必ず季節を表す言葉（季語）入れるということです。
そうはいっても17音で収めることは難しく、17音よりも多くなってしまうこと（字余り）や17音に達しないこと（字足らず）もあります。字余りや字足らずは、俳句を作る上で基本的には避けるべきことではありますが、絶対のルールではありません。過去の名句にも、字余りや字足らずの作品はたくさんあります。つまり、型を守ることは大切ですが、あまり構えすぎず、もっと自由に俳句を楽しむことが何よりも大切です。

俳句について学びたい！そんなあなたにおすすめの参考書籍

誰かに伝えたいこと、表現したい日常の些細なこと、無理やり「五七五」の枠内に詰め込もうと必死になっていませんか？
ここでご紹介する『俳句ねこ』という本では、俳句の本質、つまり俳句は韻文であり、大切なのはリズムであることが自由気ままな猫たちの表情を通して自然と分かるように書かれています。
「俳句」と聞くと、堅苦しいイメージをお持ちの方も多いのではないかと思いますが、こちらの本は、365日四季折々の自然の中に暮らす猫たちの姿が「五七五」の短い詩を通して描写されています。「あぁ、俳句って、こんなに自由だったんだ…」そう感じていただける一冊です。

作ってみたらどこかで人に発表したい！俳句の投稿ができるところ

自分で作った俳句をTwitterやInstagramなどのSNSに投稿している方を多数見かけますが、日本の伝統芸能の中でもとりわけメジャーな俳句は愛好者が多く、無名の作者が数多く存在し、そのような人々が自作の俳句を発表する場がいろいろと用意されています。
公益財団法人角川文化振興財団が主催する「角川全国俳句大賞」は有名ですが、この他にも、例えば、ほとんどの全国紙や地方紙では、毎週読者から寄せられた俳句を紹介するコーナーがあります。また、テレビ番組（NHKの俳句番組など）でも視聴者から俳句を募集しています。多くの人に自作の俳句を見てもらいたいといった方は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

聖地巡礼！俳句の祖、松尾芭蕉ゆかりの土地「立石寺」

「月日は百代の過客にして、行き交ふ年もまた旅人なり」から始まる『奥の細道』は、俳句の祖、松尾芭蕉が俳句を詠みながら日本全国津々浦々を旅した際に書かれた紀行文です。江戸を出発し、東北から北陸を巡り、岐阜大垣に至る全行程2,400km、約150日間の旅であったといわれています。
芭蕉が山形県山形市にある天台宗の寺院、「立石寺」（通称、山寺）を訪れた際に詠んだ句は有名ですね。
閑さや岩にしみ入る蝉の声
参道には全部で1,015段の石段があり、その中腹には、この句をしたためた短冊を埋めて石の塚を立てた「せみ塚」があります。

まとめ

この世に存在する最短の定型詩と称される俳句は、日本を代表する伝統文化の一つです。「五七五」のたった17音で表現される俳句は、名人から素人まで、老若男女たくさんの人々に愛されて続けている日本独自の芸能です。
今回は、俳句について、基本的な情報から歴史、鑑賞のポイントなどを分かりやすく解説してきました。学校の授業で勉強した俳句とはまた違った印象を受けられた方も多いのではないでしょうか。時を越えて今なお人々の心に響く力を持つ俳句。記事に書かれている内容を参考にしつつ、俳句の世界に足を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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