【鞆の浦】郷愁を誘う「潮待ちの港」を満喫する旅

鞆の浦はのんびり散策がおすすめ

鞆の浦は小さな町で細い路地や坂道が多く、見どころも密集していますのでのんびりと徒歩でめぐるのがおすすめです。古い港町の情緒の中で歴史を感じながら歩きましょう。

桝屋清右衛門宅

鞆の浦観光情報センターのすぐ近くにある桝屋清右衛門（ますやせいえもん）宅。幕末期、いろは丸事件の際に坂本龍馬ら海援隊が滞在していた元廻船問屋跡です。龍馬が身を隠していたという屋根裏部屋を公開しています。龍馬が書いた手紙の複製なども展示しており、龍馬ファンは見逃せないスポットです。

いろは丸事件とは、江戸時代末期の1867年に坂本龍馬ら海援隊が伊予国・大洲（おおず）藩の蒸気船、いろは丸を借りて長崎から大坂に向かっていた際に長崎に向かっていた紀州藩の軍艦・明光丸と笠岡諸島沖で衝突した事件です。いろは丸は明光丸に曳航されて鞆の浦に向かう途中で沈没し、今も海の底に沈んだままといわれています。

明光丸に乗り移っていた龍馬らは鞆の浦に上陸。桝屋清右衛門宅やこのあと紹介する對潮楼（たいちょうろう）に滞在して紀州藩と損害賠償交渉を行いました。結果、龍馬が京都で暗殺される8日前に紀州藩から7万両、現在の通貨価値に換算すると21億～35億円もの高額な賠償金が支払われました。

福禅寺・對潮楼

桝屋清右衛門宅から徒歩1分、高台にある福禅寺は平安時代950年頃に空也（くうや）によって創建されたと伝わる古刹です。福禅寺の客殿にあたる對潮楼は朝鮮通信使の迎賓館として使用されていました。座敷からは瀬戸内海に浮かぶ仙酔島（せんすいじま）や弁天島が一望でき、その光景は非常に美しく朝鮮通信使も「日東第一形勝」と絶賛したといわれています。

常夜燈

鞆の浦のシンボル的存在、常夜燈（じょうやとう）。江戸時代1859年に船の出入りを誘導するために創建されました。海中の基礎部分から頂点までの高さは11mもあり、港に立つ常夜燈としては日本一の高さです。港町情緒あふれる光景で絶好の撮影スポットになっています。

いろは丸展示館

常夜燈のすぐ近くにあるいろは丸展示館。江戸時代の蔵をそのまま利用した建物で「大蔵」と呼ばれています。その堂々としたたたずまいやレトロな丸いポストなど鞆の浦を象徴する光景は坂本龍馬ファンの間では有名な撮影スポットになっているとか。

建物内部は前述のいろは丸事件に関連した資料館になっています。1階は沈没したいろは丸の船のパーツや積み荷の一部、ジオラマなどを展示しています。2階では等身大の精巧な龍馬人形が観光客を出迎えてくれます。

太田家住宅

太田家住宅は江戸時代に保命酒を醸造していた中村屋の元蔵跡です。明治時代に太田家の所有となったため、太田家住宅と呼ばれています。保命酒とは、16種の生薬を原酒に漬けこんで作られた、鞆の浦発祥のいわばリキュールです。主屋や醸造蔵など建造当時の建物がそのまま残っており、国の重要文化財に指定されています。

そのほかにも1863年に起こった政変で三条実美（さねとみ）ら尊王攘夷派の公家7名が京都から長州に逃亡する際に主屋に滞在したことから「鞆七卿落（ともしちきょうおち）遺跡」として広島県の指定史跡にもなっています。

医王寺

太田家住宅から徒歩8分ほどで高台にある医王寺（いおうじ）へ。平安時代826年に弘法大師が開いた真言宗の名刹です。荘厳な雰囲気の本堂には広島県の重要文化財に指定されている木造薬師如来立像が祀られています。

医王寺の裏にある階段を583段上ると太子殿に到着します。ここからは鞆の浦一の絶景を眺められます。昼間の青い海も素敵ですが、夕暮れ時の海が夕陽に染まった光景も幻想的です。

鞆の浦のリノベーションカフェでほっと一息

鞆の浦の町には古い町家をリノベーションしたレトロでおしゃれなカフェがいくつもあります。散策の途中に雰囲気のある町家カフェでほっとひと息、鞆の浦の風情を感じながら食事やお茶の時間を楽しみましょう。

御舟宿いろは

坂本龍馬がいろは丸事件の時に損害賠償交渉を行った築300年の邸宅を宮崎駿監督のデザイン画をもとにリノベーションした御舟宿（おんふなやど）いろは。1階はカフェ、2階は1日3組限定の宿になっています。

御舟宿いろはの名物メニュー、鯛いろは漬け御膳1,400円（税込）は、ぜひ食べたいご当地グルメです。まずは味つけされた鯛いろは漬けにわさびしょう油をつけてご飯と一緒に食べ、最後は少し残した鯛いろは漬けをご飯の上にのせて、だし汁をかけて鯛茶漬けとして食べるのがおいしい食べ方です。

鞆の浦@cafe

常夜燈の眼の前にある鞆の浦@cafe（ア・カフェ）は、築160年の古民家をリノベーションしたカフェです。自家農園のオーガニック食材を使ったランチ限定の新鮮魚介のパスタセット1,500円（税込）が人気。

またテイクアウトもできる瀬戸内レモンスカッシュ600円（税込）などのドリンクが充実しています。ドリンクのカップには常夜燈が描かれていて、このカップも人気です。

田渕屋

江戸時代の古民家をリノベーションした田渕屋。店内は古民家の良さをそのまま残したレトロな空間です。

田渕屋の人気メニューは自家製デミグラスソースと赤ワインを入れて1週間煮込んだハヤシライス定食1300円。甘くてまろやな優しい味の絶品ハヤシライスです。ハヤシライスにはサラダのほか、保命酒が食前酒として、また自家製スモークチーズもついてきて、こちらも好評です。12時開店で売れきれ次第で終了になるので、食べたい人は早めに来店しましょう。

鞆の浦の基本情報

鞆の浦の町を散策するにあたっては、まずトモテツバス・鞆の浦バス停のすぐ近くにある鞆の浦観光情報センターに立ち寄りましょう。鞆の浦の町の観光マップやパンフレットが多数そろっています。散策に役立つ音声ガイドの機械も1回500円でレンタルできます。

お土産には鞆の浦ならではの保命酒がおすすめです。土産店ではさまざまな種類の保命酒を販売しています。

鞆の浦へのアクセス方法

新幹線でのアクセス

新幹線でのアクセス方法はJR山陽新幹線で福山駅へ。福山駅前からトモテツバスに乗車して、約30分ほどの鞆の浦バス停で下車します。

飛行機でのアクセス

飛行機でのアクセスは遠方から鞆の浦へ向かう時に便利です。羽田空港、成田空港、新千歳空港、仙台空港、那覇空港から広島空港への直行便が出ています。広島空港からはリムジンバスで福山駅前まで、所要時間は1時間5分、運賃は1,350円です。福山駅前からは新幹線でのアクセスと同様にトモテツバスに乗車、鞆の浦バス停で下車します。

車でのアクセス

大阪、神戸など東から車でアクセスする際は、山陽自動車道・福山東ICで降りて、国道182号線を南へ。県道380号線、22号線経由で30分ほどで鞆の浦に到着です。

西からのアクセスは山陽自動車道・福山西ICで降り、国道2号線、県道382号線、47号線経由で40分ほどです。

鞆の浦には公営の駐車場が4か所あります。どの駐車場も24時間営業で年中無休です。

収容台数35台の「鞆の浦第1駐車場」と20台の「鞆の浦第2駐車場」は、料金は8時～17時は30分ごとに100円、17時～翌朝8時は1時間ごとに100円です。夜間の最大料金は1,000円。

福山市鞆の浦駐車場は収容台数25台、料金は8時～22時は30分ごとに100円、22時～翌朝8時は2時間ごとに100円です。

広島県営鞆町鍛冶駐車場は収容台数230台、料金は8時～22時までの時間帯は4時間まで1時間ごとに150円、4時間～7時間は1時間ごとに100円、7時間をこえる場合は1,000円になります。22時～翌朝8時までは1時間ごとに100円です。

鞆の浦の周辺観光情報

仙酔島

仙酔島は、鞆の浦の沖合300mの場所にある周囲約6kmの小島です。瀬戸内海国立公園を代表する景勝地のひとつで「仙人が舞い降りた時にその美しさに酔いしれた」というのが島の名の由来といわれているほどです。鞆の浦からは坂本龍馬が乗っていたいろは丸をモデルにした船「平成いろは丸」で渡ります。所要時間は約5分で運賃は往復240円です。

仙酔島は無人島ですが、宿泊施設やキャンプ場などがあります。見どころは海岸線にそって1km続く五色岩。青、赤、黄、白、黒の五色の岩が見られる日本で唯一の場所です。またこの五色岩はパワースポットとしても知られています。

鞆の浦で歴史と港町情緒を感じる旅をしましょう

歴史と古い港町の情緒にいろどられた鞆の浦はいかがでしたか？鞆の浦には紹介したスポット以外にも素敵なところがぎゅっとつまった町です。日常の忙しさに疲れた時、穏やかな海を眺めながらレトロな町を歩くと、心がほぐれていくのを感じるはずです。ひとり旅や女子旅、家族旅行でも楽しいノスタルジックな鞆の浦をぜひ訪れてみてください。

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